Organoid vs. Spheroid: What's the Difference? | 3D Cell Culture | Corning

「スフェロイド」と「オルガノイド」の違いはジャムとマーマレードの違いに似ています。

確かに、それらはよく似たものを意味し、しばしば同じ意味で使われます。殆どの場合、どちらの用語を使っても問題なく通じます。しかし、この2つは、その作り方や役割に明確な違いがあります。

ただサンドイッチを作ろうとしているのなら、ジャムでもマーマレードでも問題ありません。しかし、複雑な3D細胞培養を始めようとしているならば、それらの違いを知って、正しい方を選択する必要があります。

 

オルガノイドvs. スフェロイド:細胞塊の基礎知識

 

スフェロイドおよびオルガノイドは複数の細胞から成る3D構造です。どちらも3D細胞研究に用いられますが、それらは異なる方法で作られているため、活用のされ方も異なります。

  • オルガノイドは胃、肝臓、または膀胱などの臓器に由来する、臓器特異的な細胞からなる複雑なクラスターです。それらは幹細胞や前駆細胞からできており、Corning® Matrigel®基底膜マトリックスまたはコラーゲンなど適切なスキャフォールド(足場)となる細胞外環境の存在下で自己凝集します。その後、細胞は増殖して3D研究に用いることが出来る顕微鏡サイズの元の臓器に成長します。
  • スフェロイドは、腫瘍組織、胚様体、肝細胞、神経組織、または乳腺に由来する細胞など、幅広い種類の細胞の単純なクラスター(集合体)です。それらはスキャフォールドを必要とせずに、互いに接着するだけで3D立体構造を形成します。しかし、自己集合や自己再生ができないため、オルガノイドほど発達しているとはいえません。

 

オルガノイドvs.スフェロイド:それぞれのアプリケーション

 

オルガノイドおよびスフェロイドはどちらも、in vitro培養でin vivoを再現することができますが、それぞれ独自のアプリケーションがあり、異なる多細胞構造では異なるプロトコールが必要となる可能性があります。

オルガノイドのアプリケーション

オルガノイド技術は個別化医療の疾患モデルの構築や、創薬および再生医療の研究開発で用いられ、大きな成功を遂げています。CRISPR研究でのオルガノイドの活用も同様に、ゲノム編集技術を用いた臓器発生の研究に役立つことが期待されています。

特に癌研究に関しては、3Dオルガノイドはヒト腫瘍の病態生理を模倣することができるため、特定の癌の変異シグネチャーについて有用な情報を得ることができます。

またオルガノイドは、自己集合による元の臓器のミニチュア版として機能するので、特に貴重な情報を得ることがきます。例えば、神経オルガノイドの研究により脳疾患を、腸オルガノイドを研究することで、嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)をより良く理解できます。

スフェロイドのアプリケーション

腫瘍スフェロイドによって腫瘍のin vivo微小環境の研究が進み、これにより癌研究分野での薬剤の有効性予測に役立ったことが最も注目すべきことの一つでしょう。最初のスフェロイドは、放射線療法のヒト腫瘍細胞に対する影響を調べるために1970年代に開発されました

スフェロイドは幹細胞研究分野でも活用されています。人工多能性幹細胞(iPS細胞)からスフェロイドを経て胚様体を発生させることが出来ます。また、この胚様体を高純度の神経幹細胞に分化させ、神経疾患や関連する治療の研究にも用いられています。

腫瘍スフェロイドはキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)の細胞毒性効果の研究にも用いられています。例えば米国DiscoverX社が開発したKILR®細胞毒性アッセイに用いられました。この研究ではCAR-T細胞をKILR遺伝子を導入した腫瘍スフェロイドと共培養し、同じスフェロイドプレート上でスフェロイドの形成、培養、アッセイまでを行っています。

 

3Dモデルの活用

 

どちらがあなたの研究ニーズに合うにせよ、スフェロイドとオルガノイドは細胞を研究する上で、2次元培養細胞研究では到達できない、より深い洞察をもたらすでしょう。研究が進むにつれ、この分野でのさらなる成功が期待されます。我々が3D細胞培養研究の技術を活用する機会もますます増えるでしょう。