密度勾配培地を使わない自動化細胞分離に新しい技術が登場しており、こうした上流での一部の課題を解決する一助となる可能性があります。
Corning X-SERIES® プラットフォームなどのシステムでは、細胞の単離、分離、製剤製造といった主要ステップが合理化されるため、プロセスのプログラム化対応、手作業ステップの排除、人的ミスやコンタミネーションのリスク低減が可能になります。
半自動化システムも導入効果が期待できます。 例えば、Corning X-LAB® システムの場合、細胞が分離されるまでG力と細胞層化を追跡します。その後、バルブを開ければ、細胞が別の区画に移動します。Josey博士によれば、このプラットフォームで赤血球の99%が回収されたのに対して、手作業の溶解の場合は97%にとどまるという実験結果があります(コーニングのアプリケーションノート:CLS-AN-583)。
またMontoya氏は次のように説明します。「これは高機能でありながら使い勝手のいいプラットフォームです。シングルユースのディスポーザブルカートリッジに全血液検体を入れて遠心機にかけるだけで、あとは自動処理されます。」
また、必要に応じて、血小板などの血液成分を別の区画に移すことも可能です。
「このように非常に貴重な細胞を高度に定義された細胞集団として大量に回収できるため、細胞処理中に必要なハンドリングを最小限に抑え、上流の製造工程をより効率的で信頼性のあるものになるようサポートします。」とMontoya氏は言います。
他の領域での進歩も、CAR-T細胞治療の臨床応用を後押ししています。例えば、接着培養によるベクター製造では、表面積が限られているという課題があります。しかし、Corning HYPERStack® セルカルチャー容器やCorning Automated Manipulator Platform System、Ascent™ Fixed Bed Reactor (FBR) Systemなど、完全閉鎖系の接着培養容器システムであれば、限られたスペースや人員数であってもスケールアップが可能です。