Sustainable Solutions for Labs Offer a Greener Choice | Corning

環境を守り、気候変動の影響を抑えるため、研究室の機器や消耗品にはサステナブルなソリューションを見つけたいと、多くの研究者が強く願っています。この目標は、生物医学研究の日々の現実 - ゴミ入れはシングルユースの手袋やチップ、ディッシュ、フラスコでいっぱい - とは一致していません。こうした廃棄物は、多くの場合、焼却処分か埋め立て処分の前にオートクレーブで滅菌する必要があります。排出される廃棄物の量は膨大です。エクセター大学の調査によれば、1つの学部に所属する研究者280人が1年間に排出するプラスチック廃棄物は、およそ294トンに達すると推定されています。

フリーザーやインキュベーターなどの実験機器を24時間運用する必要性もあり、研究室はオフィスビルに比べて単位面積当たりのエネルギー消費量が5倍〜10倍に達することも驚くに値しません。サステナビリティに配慮した実験機器を導入し、フリーザーの霜取りやドラフトチャンバーの閉扉、事前の計画立案など、環境意識の高い研究慣行を心がけると、大きな差が生まれます。これは自宅での生活と同じことです。

バージンプラスチック製のシングルユース製品は、細胞培養に無菌性と比類のない一貫性を提供するためハイスループットスクリーニングなどのアプリケーションに不可欠です。しかし、こうした製品がすぐに完全サステナブルに切り替わるとは考えられません。とはいえ、段階的な手順を追うことにより、実験の質を落とすことなく、研究室の環境負荷は低減できます。

各研究室で従来より環境に配慮した選択肢を見つける

Fisher Scientificが運営する環境配慮型の実験用品リストGreener Choiceプログラムでは、研究室のサステナビリティ目標に最も合致する実験用品を見つけることができます。実験機器がGreener Choice指定を受けるためには、米国連邦取引委員会(FTC)が定める一連の条件を満たしたうえで、同じカテゴリーの他製品に比べて環境面で好ましい製品でなくてはなりません。

現在、コーニングには、Greener Chioce指定を獲得した製品が798点あります。サステナビリティ意識の高いソリューションの提供にこだわるコーニング ライフサイエンスは、2022年にFisher Scientific サステナビリティ優秀賞に輝いています。

Greener Chioce指定を受けたコーニング製品は、ピペット、ピペッター、フィルター、マイクロキャリアなどに加え、マイクロプレート275点、フラスコ165点も含まれます。こうした製品の中には、Corning® T-75 U形カントネック細胞培養フラスコなど、サステナビリティに特化して設計された製品もあります。同フラスコは、従来のTフラスコの鋭角に張った肩のデザインに代わって、丸みを帯びた曲線を採用した結果、使いやすさが向上し、プラスチック使用量を約23%削減できました。

コーニングは、サステナビリティを追求したデザインにコミットしており、製造から、輸送、お客様による使用、廃棄に至るまで、製品ライフサイクルの各ステップで環境負荷を考慮しています。一部の容器、細胞培養容器の場合、壁を薄くしたり、デザインを変えたりしてプラスチック使用量を削減できます。製造プロセスの段階でサステナビリティの向上が期待できる場合もあります。コーニングのマイクロキャビティ容器は、同様の製品と比較して、製造段階での金型やプロセス、使用する機械が少ないという特徴があります。もう1つ利点を挙げると、同マイクロキャビティ容器は、同じ占有面積の従来型マイクロプレートと比べて、はるかに高密度、多数のスフェロイドを培養することができます。

プロセス集約化:サステナビリティに配慮したスケールアップ

一般に研究開発段階での効率化は容易ではありませんが、プロジェクトが製造段階に進むとサステナブルなソリューションを採用する機会が増えてきます。鍵を握るのはプロセス集約化です。これは、細胞培養に当てはめると、同じ占有面積の培養設備で培養細胞数が増えることを意味します。

従来の細胞培養フラスコに使われているプラスチックの大部分は、外界からの細胞保護が目的であり、培養表面に使われるプラスチックはほんの僅かに過ぎません。エンジニアリングを徹底的に工夫すれば、ガス交換を維持あるいは改善させつつ、接着細胞培養に使用する面積を劇的に増やすことができます。この結果、作製細胞単位量当たりのプラスチック使用量を大幅に削減できます。使用する細胞培養系によっては、単位細胞数当たりの必要培地量の削減や細胞増殖の向上にもつながります。

包装材と地球環境

サステナブルなソリューションは、製品設計にとどまりません。製品包装材の影響まで考慮しています。2021年、コーニング ライフサイエンスは、中国江蘇省の呉江経済技術開発区にある製造施設で、強度が高く軽量の輸送用梱包箱を新たに使用し始めました。この梱包箱には、責任を持って管理されている育成林から得られた原料を使用します。サプライチェーンのサステナビリティ対応強化に向けて継続的に取り組んでいるコーニングは、Avantorの2023年サプライヤーアワードで「責任あるサプライヤープログラムコラボレーション」賞を獲得しました。とりわけ、Avantorは、企業の実績・コラボレーション・功労を評価する「責任あるサプライヤープログラム」賞を設置したばかりで、コーニングがその最初の受賞者となったことに大きな意味があります。

また、コーニングによるサステナビリティへの重点的取り組みから、新たな製品が生まれています。例えば、ピペットチップ用ラックやフタは、バルクチップを補充し、オートクレーブで滅菌して再利用できる設計になっています。チップボックスが耐用年数を迎えたときには、コーニングの包装材引取りプログラムを通じて無償でリサイクルできます。このプログラムでは、15 mLと50 mLの遠沈管用の発泡スチロール製のラックのほか、樹脂識別コード(日本では「SPIコード」)の2(高密度ポリエチレン)と同4(低密度ポリエチレン)を原料とするバッグやプラスチックフィルムも対象としています。同プログラムは製品包装材が対象であり、製品自体はバイオハザード物質、液体、放射性廃棄物、その他の規制対象廃棄物とともに使用された可能性があるため、引取り対象外となります。

チップボックスは、主にデッキや公園のベンチの材料となる複合ボードにリサイクル可能です。複合ボードは、今日の技術では効率的にリサイクルできず、最終的に廃棄物となることから、解決策として不完全であることは認めざるをえません。この点を踏まえ、コーニング ライフサイエンスは、MIT(マサチューセッツ工科大学)を会場に2022年9月に米国北東部使い切り型プラスチック製品循環サミットを初めて主催しました。循環型経済では、いかなる製品も耐用年数を迎えると、同一製品の新版に完全にリサイクルされ、元の製品とは区別がつきません。つまり、素材は絶対に廃棄物にならないのです。

公共の利益のために力を合わせて

使用済みのピペットチップなどの消耗品を新たなピペットチップとして再生できるようになるまでには、多くの課題を克服しなければなりません。しかし、解決には、数多くのステークホルダーが力を合わせてスケールを実現させる必要があることは明らかです。

コーニング ライフサイエンスのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、John Tobin氏は次のように話しています。「業界としてのサステナブルなソリューションの発見にコーニングの先進技術がどのように寄与できるのかというテーマについて、このサミットの開催を機にお客様との有意義な意見交換ができるようになりました」

コーニングは、研究室の活動に確かな効果をもたらす取り組みに加え、米国環境保護庁(EPA)の最も権威ある賞「ENERGY STAR Partner of the Year(エネルギースター年間最優秀パートナー)」賞を10年連続で受賞しています。エネルギー効率化に向けた継続的な取り組みとしては、再エネ電源の利用割合の拡大、エネルギー強度の低減(同じ製品の製造に使用するエネルギーを削減すること)などが挙げられます。

こうした活動を通じて、大気浄化、水質浄化、生まれくる世代の健康増進への道を開くコーニングの取り組みについては、こちらをご覧ください