Reduce the Life Sciences Supply Chain Plastic Footprint With Intensification | Corning

シングルユースのプラスチックフットプリント(使用・廃棄量)を削減することは、現代の研究室にとって共通のゴールであり、長年にわたって関心領域となっています。ラボマネージャーも機器メーカーも、サステナビリティ目標を達成するために、プラスチック製研究・実験用品の使用量を削減し、もっと環境に配慮した日常業務のあり方をめざすべく力を注いでいます。そのような方法の1つとして、研究・実験に使用するプラスチックをガラス器具に置き換える取り組みが挙げられます。ただし、その場合、精製や滅菌の際に特有の課題があり、別の面で廃棄物が増えることも少なくありません。

しかし、コーニングのライフサイエンス事業部サステナビリティ担当ディレクター、Christie McCarthyが指摘するように、選択肢はこれだけではありません。

「別のサステナビリティ戦略として、製造の集約化が挙げられる」と語るMcCarthyは、所定のフットプリントの範囲内での生産性向上の取り組みを最大化することも、研究室のプラスチック消費量削減の重要な手段と見ています。「例えば、製品フットプリントを削減しながら、細胞収量がそれまでと同じかそれ以上であれば、細胞収量当たりのプラスチック消費量を実質的に低減させることになります」

イノベーションとサステナビリティの実績

「コーニングには、材料科学の活用とイノベーションでお客様が抱える問題の解決につなげてきた長い歴史があります」(McCarthy)。エネルギー効率の最大化をめざすコーニング ライフサイエンスの製造プロセスは、古くからサステナビリティに配慮されており、また、当社が提供する研究・実験用品や包装についても、サステナビリティを重視した設計・開発により、プラスチック使用量をなるべく抑える取り組みを強化しています。

製品製造でのプラスチック使用量を削減するためには、製造プロセスの改良や継続的な製品設計の見直しを通じて材料効率を高めなければなりません。例えば、容器によっては、品質を落とさずに容器の厚みを薄くしたり、デザインを変えたりすることでプラスチック使用量を削減できます。

一例を挙げると、標準の細胞培養フラスコのフォーマットを変えるだけでも、研究室でのハンドリングが向上して時間の節約につながるだけでなく、サステナビリティへの配慮を高めたフラスコになります。細胞培養フラスコの設計を見直し、肩が鋭角に張った形状から丸みを帯びた形状に変えたところ、製品のプラスチック使用量が23%ほど減少しました。

McCarthyは次のように説明します。「ボトル入り飲料水メーカー各社がいかにプラスチック削減に取り組んできたか考えてみてください。どのボトルも以前はずいぶん硬かったのを覚えていますか?今では簡単に潰せるほど柔らかいボトルがほとんどです。それだけプラスチック使用量が減っているのに、ボトルとしての役割は変わっていません。実験用品の場合、そこまで到達するのは難しいかもしれませんが、こうした例には学びや気づきがあります」

集約化:サステナビリティのためのスケールアップ

別のサステナビリティ戦略としてスケールアップもありますが、この取り組みは研究室ではまだあまり注目されていません。自動車の世界には、「リッター当たり何キロ(走行)」という燃費の概念がありますが、これを細胞培養に当てはめて「×××当たり細胞何個」という指標を重視する戦略です。

「具体的には、培養ディッシュの製造に使用するプラスチック1平方インチ当たりの細胞数とか、プラスチック使用量1グラム当たりの細胞数に着目します。集約化すれば、製品に使用するプラスチックの単位量当たり細胞数が実質的に増加します」とMcCarthyは説明します。

コーニングのイノベーションの結果、関連製品が多数生み出されており、こうした製品を研究に利用すれば、品質を下げることなく細胞培養をスムーズにスケールアップできます。HYPER®(High Yield PERformance)プラットフォーム対応のライフサイエンスプラスチック培養容器は、比較的コンパクトな設置面積でありながら大量の細胞培養が可能なため、研究者が廃棄物を抑えつつ、大スケールでも効率的に細胞を培養できます。HYPERテクノロジー搭載の細胞培養容器は、ガス透過性フィルムの接着性表面を重層化し、細胞培養と生産性を最大化します。

「集約化の効果は、プラスチックへの依存軽減にとどまりません。細胞製造に必要な培地も削減でき、プラスチック製品使用量を抑制できます」

McCarthyが言うように、「集約化の効果は、プラスチックへの依存軽減にとどまりません。細胞製造に必要な培地も削減でき、消耗品使用量を抑制できます」。

こうした効果は、例えば細胞・遺伝子治療に当たる臨床医やトランスフェクト細胞からの産物回収に取り組む研究者にとって願ってもないものです。

プラスチックフットプリントを適切な水準に抑制

Corning® Ascent™ Fixed Bed Reactor(FBR)(日本未発売)は、圧縮したポリマーメッシュを搭載し、コンパクトな設置面積のバイオリアクター内で均一な分布の細胞培養を実現します。この設計は、スケールアップとスケールアウトのどちらにも対応し、研究室のプラスチックフットプリント削減に寄与します。細胞・遺伝子治療には、大量の細胞が必要になりますが、この課題はAscent FBRシステムで解決できます。サステナビリティの面では、Ascentの導入により、一定の細胞量の培養に必要な物理的サイズとキャンペーン生産の回数を抑制できるメリットがあります。Ascentシステムでは、1平方メートルから1,000平方メートルまで直線的なスケーラビリティが確保されているため、効率的に集約化できます。

「フットプリントを抑えて細胞収量を増やすことができれば、プラスチック消費量も抑えられます。当社は、標準フラスコから進化した、細胞製造を多層に集約できる多層型プラットフォームを開発しました。そして今度はAscentプラットフォームを市場投入しており、コンパクトな設置面積で製造規模を大幅に強化できます。」(McCarthy)。

細胞培養用のさまざまなプラスチック製品やプラットフォームについて、プラスチックフットプリントを比較すると、その効果は歴然です。例えば、標準の培養容器と比較した場合、HYPERFlaskは、U-75標準フラスコ23個分と同等の培養面積を持ちながら、プラスチック使用量は9倍未満に抑えられています(コーニング内部データ)。Ascentシリーズの中でも最大製品は1,000平方メートルのFBR表面を備え、比較的コンパクトな設置面積ながら、実に133,000倍以上の培養面積を確保しています。

コーニングは、ライフサイエンス分野でのイノベーションの長い歴史を生かし、この製品を始めとする数々のサステナビリティの実績を重ねています。こうした実績に加えて、研究室が製造の集約化に踏み切ること、でサステナビリティへの取り組みを強化する機会がますます広がるとMcCarthyは見ています。ライフサイエンス分野でのサステナビリティに対するコーニングの貢献については、こちらをご覧ください。

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