10 Ways to Boost Lab Sustainability with Laboratory Best Practices

環境に配慮した研究室に移行するためには、エネルギー使用量の削減、廃棄物が少ない研究・実験用品の選択、サステナビリティ促進を前提とした実験プロセスの最適化という、3大行動について考慮する必要があります。そこで今回の記事では、研究室のサステナビリティを高めるために、今日からできる10の方法をご紹介します。

エネルギー削減

1. 節電の継続

最も手軽にできる取り組みとして、使っていない機器の電源を切ることが挙げられます。ハーバード大学の調査によれば、ドラフトチャンバーのサッシを閉めるだけで、年間24万ドル相当の大きな省エネ効果があり、温室効果ガス排出量も300トンの削減につながることがわかりました。タイマーや自動スイッチを活用して勤務時間の終わりに電源が切れるようにしたり、機器のプラグを安全な方法で電源タップにまとめ、勤務終了時にスイッチ1つで対象機器の電源を落としたりすることもできます。この方法は、一晩中使うことのない研究室のコンピューターに適しています。そういう習慣がなかなか根付かないこともあります。そんなときは、機器やスイッチの近くに節電・消灯の注意書きを貼っておきましょう。

2. エネルギー効率化対策も「ニューノーマル」の発想で

なるべく省エネ性能の高い製品を選び、製品のリプレース時には省エネ効果の高いものに切り替えます。Corning® CoolCell® 凍結保存容器のようなテクノロジーであれば、従来の製品よりもサステナビリティに貢献しつつ、同等の結果が得られます。

3. サステナビリティに配慮したR&D活動を支える環境配慮型建物

冷暖房は、エネルギー効率化を大きく圧迫しがちです。そこで建物の設備更新の際、ヒートポンプや冷房設備の刷新の他に、排出ゼロの工夫も取り入れます。ブラインドや日除け、高断熱化も、年間を通じて安定した環境条件の維持に寄与します。

環境に配慮した購買行動を

4. 再使用で長く使う

プラスチック製品をガラス製品に置き換えると、シングルユースの消耗品やそれに伴う廃棄物を削減できます。ガラス製品に切り替えられない場合でも、リユーザブルボックスに入れたピペットチップのように、一般的な実験用品の多くは、オートクレーブで滅菌できます。また、シングルユースのプラスチック製品を使う場合でも、リサイクルプログラムが設定された製品を選ぶことも検討しましょう。

先見性のあるメーカーを選定することも、研究室の環境対応を進める一助となります。コーニングは、シングルユースのプラスチック製品の廃棄物に対処するケミカルリサイクル技術をいち早く開発し、廃棄物を研究室の基準に合致した材料に再生しています。

5. サステナビリティ意識の高いメーカーの協力が重要

エシカルな(倫理観に基づく)製造、リサイクルプログラム、施設での優れたエネルギー管理に取り組むメーカーを選択しましょう。Fisher Scientific社が運営する環境配慮型の研究用品リスト「グリーナーチョイスプログラム(Greener Choice Program)」には、コーニング製品が実に798点も認定されており、メーカーとしての掲載数はトップです。同プログラムは、同一用途のカテゴリー内で特に環境に配慮した製品を認定するもので、当該製品の「環境面の特長が長期的に実証済みであることを保証」することを意味します。

調達先候補のメーカーが、「Energy Star Challenge for industry」(米国環境保護庁による省エネルギー推進プログラム)など、エネルギー効率化の目標に取り組んでいるかどうか確認します。メーカーの中には、製造で使用するプラスチック量を削減するために、すでに製品設計の見直しに着手しているところもあります。例えば、容器の厚みを薄くして、品質を下げることなくプラスチック使用量を減らすことができます。またコーニングでは、標準の細胞培養フラスコの設計を見直し、鋭角に張った肩をなくし、丸みを帯びた形状にすることで、約23%も製造時のプラスチック量の削減に成功しました。

6. 環境意識の高い節約上手なリサイクルへの取り組みを

リサイクルはメーカーが行うものと自前でできることがあります。プリンター付近には紙の回収ボックスを配置し、印刷済みの用紙の裏面(いわゆる「裏紙」)も利用して紙の節約を心がけるよう周知徹底します。不要になった包装材は、メーカーが責任を持って処理するプログラムを実施していれば返却できます。コーニング引き取り(Corning Take-Back)プログラム(米国のみ)は、一般的なプラスチック包装材を対象としたリサイクルプログラムで、簡単に返却できるように送り状も用意されています。コーニングでは、リサイクルが難しいプラスチックを研究室利用に適した品質の樹脂に転換し、新たな実験用品の製造に用いる先進的なリサイクルエコシステムも推進しています。

実験プロセスの保守・強化・自動化

7. 機器を長持ちさせる

機器は定期的に手入れして、常に正しく作動するように心がければ、最適に機能するだけでなく、エネルギー消費も削減できます。例えば、フリーザーは、霜の付きすぎやパッキンの劣化がないかチェックし、常に最高の性能を発揮できるようにします。また、保守スケジュールに建物のインフラも加えるといいでしょう。蛇口の水漏れはすぐに修理し、通気口も定期的に清掃します。

8. 集約化

機器やプロセスの選定の際、フットプリントがこれまでと同じか、もっと小さくてもアウトプットが大きくなれば、研究室の省スペース化だけでなく、プラスチック廃棄物の削減にもつながります。

Corning HYPER(High Yield PERformance)製品は、研究室にとって生産集約化の選択肢となります。HYPERFlask®HYPERStack®培養容器は、ガス透過性フィルムを用いた接着細胞培養用多層容器のため、細胞増殖と生産力を最大化できます。細胞収量を増やしながらプラスチック量を削減できます。

この考え方をさらに一歩進めて、Ascent® Fixed Bed Reactor(FBR)(日本未発売)は、物理的なサイズの面でも、必要な細胞バッチの増殖に求められるキャンペーン数の面でも節約できます。1平方メートルから1,000平方メートルまで直線的なスケーラビリティが標準で確保されているため集約化できます。Ascent FBRの最大表面積は1,000平方メートルで、従来の細胞培養フラスコの培養面積の133,000倍以上を実現します。

9. 研究室のスマート化がもたらす優位性

照明用の人感センサー、創薬用の人工知能、研究室の在庫補充発注のデジタル化は、無駄や廃棄物を自動的に削減する一助となります。サーモスタットを使って環境条件を制御する単純な取り組みでも、暖房コストの削減につながります。

10. 発想も研究活動も、環境への配慮を忘れない

定期的な点検や啓蒙活動、周知徹底の取り組みを通じて、職場の文化に少しでも環境配慮の姿勢を取り入れ、その姿勢が失われないようにすることが大切です。トレーニングセッションやワークグループは、この姿勢を第一に維持する一助となります。同僚とともにオンラインイベントに参加することも一案です。例えば、コーニングの「CELLebrate Sustainability in the Lab」と題したウェビナーでは、研究室という空間を一層持続可能なものとするための有益なヒントや秘訣、ベストプラクティスを紹介しています。ライフサイエンスのサステナビリティ向上の新たな手法を学び、実際の行動に移す場合、チームのメンバーみんなで取り組めば、はるかに容易に、しかも楽しく実行できます。

ライフサイエンスの研究室は常に変化していて、研究室のサステナビリティも同様に変化します。環境にやさしいメーカーとの取引や責任ある調達の推進、廃棄物の賢い管理、カーボンフットプリントの軽減を通じて、サステナビリティ意識の高いサプライチェーン構築に向けてコーニングとともに取り組みませんか。