Exploring a Career as a Field Application Scientist

大学の理系学部を卒業すれば、大学院での研究への扉が開きます。では、大学院で学位を取得した後はどうでしょう。アカデミアとはまた違う、フィールドアプリケーションサイエンティストという、やりがいある仕事にも道が開けることをご存知ですか。コーニングのライフサイエンス事業部に所属するフィールドアプリケーションサイエンティスト、Sascha Kiesslichは、この仕事について、生涯学び続けることができると言います。

Saschaは、専門分野の最新動向をどのように押さえているのでしょうか。「自分の専門分野については豊富な知識があり、それがお客様のニーズを理解にする一助になっている」としつつも、自社製品に関するコーニング社内の研修を受けたり、専門分野の進展状況を常に把握しておくなど、「毎日の勉強を怠るわけにはいかない」と説明します。

フィールドアプリケーションサイエンティストに求められる資質とは

Saschaは毎日の業務の中で、お客様やコーニングのアカウントマネージャーと連携しながら働いています。自分の専門分野や関連するコーニング製品の知識を生かして、お客様にソリューションを提供し、確かな成果につなげているのです。

では、Saschaはどのようにしてこのポジションを獲得したのでしょうか。どのような資質が求められるのでしょうか。

Saschaは、生体医工学の博士号を持っています。このため、バイオリアクターに関して経験豊富なだけでなく、修士課程のときのインターンシップで6カ月間、産業界に身を置いた経験もあります。

「博士課程で身につけた豊富な知識は、お客様のニーズを見極める一助になっています。とはいえ、お客様のアプリケーションは実に多岐にわたるため、こちらも毎日が勉強ですね。例えば、私自身は3D細胞培養分野よりも細胞・遺伝子治療分野で使うバイオリアクターの専門家なのですが、いろいろな分野で学び続けられて本当に幸せです」とSaschaは言います。

専門分野の深い知識と学習を継続する意欲という組み合わせが、素晴らしい成果を生み出しているのです。コーニングでSaschaと連携して業務に当たるアカウントマネージャー、Chris Sheenによると、コミュニケーションスキルも重要です。お客様目線で考える能力が重要であり、同時にアカウントマネージャーと意思疎通を図る能力も同じように大切なのです。

「これは、お客様の信頼を勝ち取るうえで役に立ちます。専門分野の知識を提供できれば、お客様からの信頼も厚くなりやすく、関係を発展させていく一助となります」とChrisが言うように、あらゆる取引関係は信頼があってこそのことです。

フィールドアプリケーションサイエンティストの役割とは

理系の学位や当該分野の経験が必要なことは確かですが、その役割はどのようなものでしょうか。フィールドアプリケーションサイエンティストは、アカウントマネージャーとともに情報のハブの役割を担います。お客様は、製品だけでなくプロセスに関して具体的な質問があるときには、この2人を通してコーニング内のあらゆる専門知識に裏打ちされた回答を得ることができます。この"頼れる名コンビ"がコーニング製品の有用な情報提供にとどまらず、クライアントへの全般的な対応に当たります。

Chrisが指摘するように、このような対応は、お客様との堅固な取引関係を確立するのに役立ちます。

「私の知識だけでは、お客様に明確に回答できない場合、Saschaに助言を求めることができます。」その場合、必要に応じてSaschaがお客様に直接対応することもあれば、アカウントマネージャー経由で回答することもあります。「お客様の抱える課題が何であれ、解決に取り組むことが取引関係の構築につながるのです」とChrisは言います。

「普通の日というものがない」

Saschaにとって「普通の日」と言えるような日はないそうです。毎日、毎週、毎月とさまざまな頻度で多種多様な活動に携わっており、お客様のニーズやライフサイエンス分野の新しい動向などの把握に加え、コーニングやコーニング製品と常に関わりがあります。

具体的には、新製品や新たな動向に関する企業研修・セミナー、ライフサイエンス分野の生涯教育、ビジネス関連の社内研修などがあります。コーニングのフィールドアプリケーションサイエンティストは、社内向けやカンファレンスでのプレゼンテーションに携わり、社内外の聴衆向けに科学界の進展状況に関する講演や新製品の販売促進も担当しています。

Saschaは次のように説明します。「特定の製品について、アカウントマネージャーと連携してお客様にプレゼンテーションを行うこともしばしばあります。非常に高度な学術セミナーの開催はいい機会と言えますし、それに次ぐものとしては製品デモンストレーションが考えられます」

現場やリモートでのトラブルシューティング対応も、いい機会になります。例えばSaschaがアカウントマネージャーを伴ってお客様のもとを訪れ、プロジェクトごとのソリューションに適した製品の紹介、細胞製造上の問題のトラブルシューティング、製造スケールアップの機会の見極めや支援、設備増強ニーズへの対応に取り組むこともあります。

「お客様の疑問点解消を支援し、担当分野で適切なプロトコールにたどり着けるように指針を示すこともあります。細胞や生物学に関しては、まだ分からないことがたくさんあります。非常に特異的だったり、最初は単純明快に思えても、実はまったく違ったりすることも少なくありません。お客様がコーニング製品の採用を決めれば、サポートやトラブルシューティングも続きます」とSaschaは説明します。

Chrisによれば、コーニングでは、お客様がオンラインで利用できる各種リソースを用意していますが、Chris のようなアカウントマネージャーを介してサイエンティフィックサポートグループからもっと具体的な情報を入手することもできます。問題点を確実に解決するため、Saschaらフィールドアプリケーションサイエンティストのチームの協力を仰ぐこともあります。

アカデミアから産業界へ

アカデミアの世界から飛び出すのは、想像を絶するほど大変なことのように思えますが、そんな不安を吹き飛ばすかのようにSaschaが説明します。Saschaは、コーニングでの職務に就く準備として、「産」と「学」を上手にまとめる方向性など、数々の有益な新人研修を受けたそうです。

「社内で多くの研修を受けていますし、コーニングの研究室に足を運んでは、新製品の情報を仕入れて知識を更新しています。また、社内でプレゼンテーションをおこなって、フィードバックをもらうこともできました」とSaschaは言います。

Chrisによると、インターンの学生や研究室配属の新人にとっては、アカウントマネージャーやフィールドアプリケーションサイエンティストは、ライフサイエンス産業で働く際の優れた情報源になります。

Chrisは次のように言います。「現場に顔を出したときには、遠慮せずに声をかけてほしいですね。学生さんから、進路について相談したいので5分だけ時間をもらえないかと話しかけられることがよくありました。こういう姿勢は大変評価できることですし、私たちもコーニング社内で最適な相談相手を紹介できるように頑張っています」

Saschaは、博士号取得後に産業界に進もうと決めていたそうですが、このような仕事があることは知らなかったと言います。

「フィールドアプリケーションサイエンティストという仕事は、ほかの仕事、例えば企業研究者などとは一線を画するものでした」。Saschaがそう語るほど、興味を引くアプリケーションやプロセスの幅広さ、多様性にあふれていたそうです。

「どのお客様も素晴らしい事業に取り組んでいて、私はその内容を教えてもらい、実際に現場でさまざまなことに直接関与させてもらっています。もし特定の会社で働いていたら、1度に数件のプロジェクトにしか関われないと思います。この仕事をやっていたおかげで、3D細胞製造やウイルス産生、細胞培養、ワクチン製造など、実にさまざまな分野でいろいろなことを学ぶ機会に恵まれました。ライフサイエンスの領域全体の進展ぶりを俯瞰できる、素晴らしい立ち位置の仕事です」とSaschaは言います。