ほぼすべてのがんが研究者に次々と課題を突きつけますが、前立腺がんはずっと特有の謎に包まれてきました。前立腺がんの発生原因は部分的にしか解明されていませんし、このがんの症状は実にさまざまで、それほど深刻ではない病気の症状に似ていることも多々あります。従来の細胞培養研究では研究者が探し求めている知見は得られず、前立腺がんは依然として世界で最も死亡率の高いがんの1つとなっています。
だからこそ、広く利用可能な前立腺オルガノイドの登場は、研究者や患者から大きな興奮をもって歓迎されました。オルガノイドの3D構造は、複数の細胞タイプを組み合わせることで前立腺のin vivo挙動のより正確なモデルを提供します。さらに重要と思われるのは、オルガノイドは患者の生検組織から培養できるということです。
研究者は強力な新しいツールを自由に使えるようになりました。今ではこのツールのおかげで、正確かつ個々の患者に応じた検討ができるのです。