アッセイタイプ
第1の検討事項は、生化学アッセイかセルベースアッセイかに応じて、必要な表面タイプが絞られます。生化学アッセイの場合、表面要件が少ない傾向がある一方、接着細胞でのセルベースアッセイの場合は、TC(細胞培養)処理のCorning® CellBIND®表面、Corning BioCoat®、マトリゲル基底膜マトリックスなど、表面処理の特異的な要件があります。スフェロイド形成には超低接着表面が利用できます。
検出方法
第2に重視すべき事項は、検出方法です。これによってマイクロプレートの色が決まります。クリアのマイクロプレートは、主に吸光度アッセイに使用します。白色マイクロプレートは、発光アッセイと時間分解蛍光測定アッセイに適しています。白色表面は、微弱になりがちな信号を反射・増幅し、ウェル間のクロストークを低減します。黒色マイクロプレートは、信号強度が大きい他のほとんどの蛍光アッセイに適しています。また、黒色表面は、ウェル間のクロストークとバックグラウンドの自家蛍光を抑える効果があります。
プレートリーダーのタイプ
第3の検討事項は、使用するプレートリーダーのタイプです。これは、マイクロプレートのボトムがソリッドかクリアかを決める要因となります。マイクロプレート上部からの測定には、黒色ソリッドか白色ソリッドが適しています。マイクロプレート底部からの測定には、クリアボトムが不可欠で、側面に黒色ソリッドか白色ソリッドのどちらかを組み合わせることができます。分光光度計を使用する場合、UV透過型のボトムが必要になります。
マイクロプレートを顕微鏡観察に使用する場合には固有の課題が生じます。特に自動顕微鏡、撮像、分析を伴うハイコンテントスクリーニング(HCS)でこの傾向が顕著です。
Brown氏が説明します。「イメージングアプリケーションの場合、マイクロプレートの平面度によってプレート読み取りのスループットに差が出ます。リフォーカスが必要なためにマイクロプレートのスキャンにかかる時間が非常に長くなる場合、ハイコンテントイメージング向けに平面度の均一性を高めた設計のマイクロプレートを選択します」
コーニングは、ハイコンテントスクリーニングの顕微鏡観察用に、幅広いクリアボトム素材のマイクロプレートを取りそろえています。2倍〜10倍の低倍率の顕微鏡観察の場合、一般的にはボトムがクリアのポリスチレン製で十分対応できます。10倍〜32倍の倍率の顕微鏡観察では、ボトムがガラス製またはCOC製の96ウェルマイクロプレートが適しています。ガラス製ボトムは、傷がつきにくいWillow® Glassを採用し、優れた光学特性を備えているため、オートフォーカスにかかる時間が短縮できます。一方、COC製ボトムは、ガラス不使用でありながらガラス並みの透明性を実現します。40倍以上の顕微鏡観察向けとしては、COC製ローベースの96ウェル、384ウェル、1536ウェルのマイクロプレートを取りそろえています。ローベースは、標準ベースとは異なり、高倍率対物レンズによる画像化を目的に設計されています。COC製ベースは圧倒的な平面度を備え、マイクロプレートのエッジ部分まで読み取りが可能です。
スループット要件
マイクロプレート選定の第4の検討事項は、スループット要件です。低スループットのスクリーニングやアッセイ開発の場合、主に96ウェルのマイクロプレートが適しています。中スループットと高スループットの場合、それぞれ384ウェル、1536ウェルのマイクロプレートが必要です。こうしたフォーマットの中で、追加のオプションが利用できます。
「ハーフエリア96ウェルとローボリューム384ウェルのフォーマットは、同じウェル数のままで試薬のコスト節減につながることから、1段階上のウェルサイズに移行する前のお客様に適しています」とBrown氏は説明します。Corning Stripwell™ 96ウェルのプレートも、1度に96ウェルを使用する必要がないため、開発段階に適していると言えます。
Brown氏によれば、96ウェルプレートでのアッセイでは、スループットの要件に応えられない場合、384ウェルや1536ウェルのフォーマットへの移行を検討することが推奨されます。例えば、100万化合物のスクリーニングの場合、96ウェルのマイクロプレートであれば10,000枚以上必要になりますが、384ウェルであればプレート数はわずか2,600枚、1536ウェルであれば、650枚で済みます。高価な試薬を使う場合にミニチュア化は特に魅力的です。
マイクロプレートフォーマットの96ウェルか384ウェルか1536ウェルかの選択に当たって、重要なポイントは、リキッドハンドリングと自動化を担う適切な装置が利用できるかどうかです。
「使用する装置がマイクロプレートのタイプに合った設計になっているかどうか確認してください。そうしないと、スクリーニング結果に意図せぬばらつきが生じかねません。例えば、96ウェルマイクロプレート用に設計されたマニュアルのマルチチャンネルピペットは、1536ウェルのマイクロプレートには使用できません」。Brown氏はこのように強調します。1536ウェルマイクロプレートには自動化が不可欠になるため、使いやすさとスループットの兼ね合いを考える必要があります。
マイクロプレートの選定と自動化に当たっては、十分な情報を基に時間をかけて検討することが、ばらつきの少ない良好な結果をもたらす一助となり、最終的に科学的発見のペースを速めることになります。