How Closed, Automated Cell Separation Systems Reduce Cell Culture Contamination Risk

さまざまな病状に大いに有望視されているがん免疫療法。しかし、普及が進むにつれて、研究室での細胞培養のコンタミネーションリスクも高まっています。

手作業の濾過や開放型遠心など従来の細胞分離法は、外部の微生物汚染物質(細菌やウイルスなど)が混入したり、赤血球の溶解時やジメチルスルホキシド(DMSO)の洗浄時などに細胞につきものの不要な細胞集団や保護剤が完全に除去されていなかったりすることがあります。

コンタミネーションリスクの管理は重要です。コーニング ライフサイエンスのフィールドアプリケーションサイエンティスト、Ben Josey博士によれば、研究現場では換気や気圧調節といった条件を考慮せずにバイオセーフティキャビネットなどの設備を過信してしまうことが多く、バイオバーデンの増加を招くことになります。

「施設・設備の制御によるコンタミネーション低減効果を過大評価する研究者もいます。例えば、バイオセーフティキャビネットは、基準を満たしたクリーンルームで適切に運用しなければ有効性を発揮できません。独自の無菌操作法について精通していたとしても、コンタミネーションもバイオバーデンも高い環境で開放系を管理するには、必ずしも十分とはいえません」とJosey博士は言います。

プラットフォームを閉鎖系に

細胞コンタミネーションへの懸念から、多くの研究者が手作業のワークフローを伴う開放系から、一体型で自動化が可能な閉鎖系のプラットフォームへと移行しています。コーニング ライフサイエンスのAdvanced Cell Culture担当シニアプロダクトマネージャー、Alejandro Montoya氏(M.S.)によれば、閉鎖系への切り替えで、オープンベンチであっても無菌性を維持することができます。

「開放系では、密度勾配媒体の追加などの操作を始め、開放型遠心につきものの手作業が増えるため、微生物コンタミネーションが生じやすくなります。閉鎖系では、処理ステップの数を大幅に減らせるため、結果的にコンタミネーションのリスクも最小限に抑えられます」とMontoya氏は言います。

閉鎖系は外部の汚染物質から保護されていて、一部のプラットフォームでは、サンプルに含まれる不要な成分を手作業よりも効果的に取り除くことができます。例えば、コーニングのX-SERIES細胞分離プラットフォーム(日本未発売)には、X-LAB®とX-WASH®があり、前者は細胞単離、後者は細胞洗浄に対応していて、どちらもセンサーが制御します。

X-LABシステムでは、チューブ溶着か、ルアーロック型のコネクターやシリンジでサンプルをシングルユースの無菌カートリッジに移します。そこからサンプルは、あらかじめプログラムされた遠心機に流入します。コントロールモジュールの加速度計やセンサーでG力と細胞層を追跡します。細胞が重層化されると、カートリッジの弁が自動的に開閉し、各コンパートメントにサンプルを送ります。

BioProcess International ウェビナーの講師を担当したJosey博士は、この技術について、「加速度計、インテリジェントセンサー、マルチチャンバーデバイスカートリッジを組み合わせたX-LABシステムは、免疫細胞集団を分離する際に細胞汚染源になりやすい赤血球などの細胞集団の分離に極めて効果的」と説明しています。「溶解ステップなしに赤血球レベルを1%未満に抑えることが可能です。これに対して、従来の溶解では3%にとどまります」とJosey博士は言います。

密度勾配媒体を導入する必要がなく、溶解の手間もかからないため、コンタミネーション防止にも役立ちます。こうした試薬は、操作が必要で、曝露時間も長めになるため、どうしてもそれなりのリスクをはらんでいます。

「細胞を溶解バッファーに曝露する時間次第で、コンタミネーションの影響が生じ、細胞生存率が左右されます。言い換えれば、ステップが増える分だけリスクも増えるわけですから、試薬の追加が不要であれば、処理ステップが1つ少なくなるメリットがあります。外部コンタミネーション源が気になるのであれば、溶解ステップを入れないだけで確かな効果があります」とJosey博士は言います。

サンプルの凍結保護剤を洗浄

凍結保存した細胞に使われるDMSOなどの凍結保護剤は汚染物質になり、細胞生存率に影響を与えることがあります。そう考えると、自動洗浄プラットフォームはますます重要になります。Corning X-WASHシステムは、X-LAB®と同様に、コントロールモジュール内のインテリジェントセンサーが洗浄後の細胞をモニタリングして、高精度・高感受性の回収を実現します。

Montoya氏によれば、ある研究でX-WASHを使用したところ、1回の洗浄でDMSOが90%除去され、2回の洗浄で99%除去されました。

「こうしたメリットが最小限の操作で得られます。このようなプロセスに使われている他の方式と比べて、非常に望ましい結果が得られます」とMontoya氏は言います。

コンタミネーションを制御

研究者であれば、開放系か閉鎖系かに関係なく、細胞分離に当たって、施設や設備の制御は最大の関心事のはずです。どのような実験でも、数え切れないほどの汚染物質やその他の障害が待ち構えていますが、一番深刻なのは、プロジェクトの中断を招くような障害です。がん免疫療法のように重要な研究の場合、コンタミネーションを抑え込めるかどうかは、おそらくかつてないほどに重要になっています。