Laboratory Equipment Suppliers: Improving Results from the Bench to Environmental Impact | Corning

(以下は、2023年6月19日にLab Managerに掲載された記事を翻訳したものです。)

科学研究ラボ用製品は日々のワークフローの中心にあり、研究の進展を支えています。研究室で確かな研究成果を上げ、これまで以上にサステナビリティを実現するためには、特にシングルユースのプラスチックを始め、環境への影響を最小限に抑えた設計の高品質で、信頼性の高い実験用品を確保できるかどうかにかかっています。実験用品の購買に当たって、コストが決め手になることも少なくありませんが、品質不良やラボ用機器にばらつきがあると、実験のやり直しが発生するリスクも高まります。すると、使用する材料が増え、労働時間も増加し、さらには貴重なサンプルを喪失することにもなり、コストが余計にかさんでしまいます。研究室の必需品に高い品質と一貫性が確保できれば、実験結果の再現にも自信が深まります。また、供給保証があれば、研究室の業務が混乱に陥る事態を回避する一助となります。

研究室が円滑な業務運営と最適な生産性を確保するためには、適切なライフサイエンスのラボ用機器メーカーとの連携がものを言います。その場合、品質、サステナビリティ、保証に熱心に取り組んでいるメーカーであるだけでなく、アプリケーション上の疑問点に始まり、スケールアップや研究室の最適化に至るまで、あらゆる段階で研究室を支援する専門ノウハウを備えたメーカーかどうかが問われます。

品質が鍵

どの研究室でも、最終的なゴールは、正確で再現性のある実験結果を生み出すことにあります。したがって、実験用品の品質と信頼性は最優先事項です。標準レベルに満たない品質の原料や生産体制、甘い品質管理、不十分な滅菌手順では、正確性が損なわれ、その結果、不完全な生産物や、コンタミネーション、また、ばらつきの原因になります。例えば、RNA分解酵素(RNase)やDNA分解酵素(DNase)、ヌクレオチド、検出困難な浸出物・抽出物が存在すると、サンプルの完全性が損なわれかねません。

研究チームで、高品質で信頼性の高い実験用品以外は使わないよう徹底すれば、実験のやり直しを招く可能性は最小限に抑えられます。それはとりもなおさず、環境、実験結果、収益にもプラスの効果をもたらすことになります。

実験用品がサステナビリティを左右することも

シングルユースのプラスチック製品は、無菌性の確保やコンタミネーションリスクの低減に役立つものの、かなりの廃棄物が生み出されてしまいます。実際、研究活動に従事する人口は全体の0.1%に過ぎないにもかかわらず、世界全体のプラスチック廃棄物のうち、研究現場が生み出す割合は2%に達します。幸いにも、供給面でいくつかの点をしっかり考慮すれば、研究活動と環境の両面にプラスの効果を与えることができます。

プラスチック消費の削減とサステナビリティの向上につながる研究室の直接的な取り組みには、次のようなものが挙げられます。

  1. スケールアップによる生産効率の向上: 例えば、単体のフラスコをいくつも使う代わりに、多層型細胞培養フラスコを使用すれば、フラスコ製造原料を抑えつつ、細胞の収量を増やせるため、プラスチック廃棄物を大幅に削減できます。
  2. 実験やり直しの削減・排除:ほとんどのツールや科学研究機器には、特定の公差があります。こうした公差を理解し、それを踏まえて実験に着手すること、具体的なユースケースを前提に実験用品を検討すること、高品質な製品だけの使用を徹底することで、実験やり直しの可能性は減少します。
  3. 廃棄物監査の実施:所属先の研究室で最も多くの廃棄物を排出している原因を突き止めてみましょう。その答えは意外なところにあるかもしれません。初期段階での取り組みが大きな効果をもたらします。
  4. バルクパックの購入:バルクパックでの購入は、製品包装材や温室効果ガス排出量の削減につながります。そのような購入計画を立てれば、大きな効果をもたらし、時間の節約にもつながります。メーカーと連携することで、さらに包装材を削減することも可能です。

 

研究室のサステナビリティ向上策については、こちらをご覧ください。

しかし、環境に対して最も大きなインパクトをもたらすのは、生産段階と廃棄物管理段階においてパートナーシップを活用することです。研究室のサステナビリティ状況の全体像をはっきりと把握するためには、実験用品のサプライチェーンに目を向け、ESG(環境・社会・企業統治)やサステナビリティの取り組みに強い決意を表明しているメーカーと協力体制を築かなければなりません。生産施設の場合、国際規格のISO14001が定める環境マネジメントシステム要件に従い、ベストプラクティスを採用する必要があります。サステナビリティを優先課題に掲げるメーカーは、品質や信頼性を損なわずに単位当たりのプラスチック使用量を抑えた革新的な製品設計にサステナビリティのゴールを設定しています。

シングルユースのポリスチレンプラスチック製品のライフサイクル分析によると、化石燃料から樹脂への転換時と焼却時に、温室効果ガス排出量が最も大きくなります。そこで、この2つの段階で排出量削減を実現する場合、廃棄物の埋め立て処理から脱却し、製品のリサイクル、再生、再利用、保守を通じた循環型エコシステムを採用することが、最も実効性の高いアプローチとなります。

リサイクルというと、責任ある廃棄物管理の話題が中心になりがちですが、現実は複雑です。研究室の廃棄物は、有害物質の汚染の問題があるため、必ずしもすべてリサイクルできるわけではありません。また、理屈の上ではリサイクル可能なものであっても、処理上の制約など複雑な事情があり、大半はリサイクルされていません。例えば、特定タイプのプラスチックの処理に適したインフラの欠如、コンタミネーション(特にリサイクルプロセスの抑制剤や触媒によるもの)、関連費用が原因で、「リサイクル対象」のプラスチックが埋め立て処理になることもあります。適切なリサイクルプロセスは、プラスチック製品の化学特性や組成によって決まりますが、既知のタイプの中にも未知の変異性があり、素材の再生利用がうまくいかない場合があります。こうした課題は、配合がわかっている素材を大口でリサイクルすることで解決できます。この方法は、「引き取り」プログラムを実施しているメーカーを通じて推進可能です。このようなプログラムに対応しているパートナーを探し、循環型ライフサイクルのさまざまな機会を活用することで、廃棄物削減と原料転換の両面で最大の効果が得られます。

サプライチェーン混乱のリスク低減を保証

研究室をスムーズに運営するには、、信頼できる実験用品を確保する必要があります。近年、地球規模の事態でサプライチェーンに未曾有の負担が発生しており、安定した供給源確保がクローズアップされています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連研究(診断、治療、ワクチンなど)の急拡大に加え、バイオプロダクションを始めとするライフサイエンス業界の急成長も重なり、重要な実験用品の需要は世界的に200%〜1,000%もの急増となりました。そこに原料不足や物流の混乱、政府方針の食い違いが重なり、混乱は危機と言えるレベルに達し、もっと強固なサプライチェーンの必要性が浮かび上がりました。

将来起こりうる事態や悪影響の要因を1つ残らず予測することは不可能ですが、すでに柔軟性や適応性を発揮しているメーカーとの連携により、今後、混乱に陥る可能性を低減させることが可能です。コロナ禍のしわ寄せが見られ始めた段階で、即座に増産や安定化の施策を打ち出した実績のあるメーカーであれば、将来の困難な状況に見舞われた場合でも、有利な立場を確保し必要な措置を講じられる可能性が高いと言えます。

製品・アプリケーションの専門知識が迅速な意思決定を実現

とりわけライフサイエンス分野での継続的な技術革新を受け、アプリケーションごとに高度に特化した製品づくりが実現するなど、製品に大きな多様性が生まれました。実験プロセスやスループットの最適化には、個別のアプリケーションに最適な素材や手法を見極める必要があります。しかし、実験や製品の詳細事項が多岐にわたることを考えると、これは途方もない作業になりかねません。例えばコラーゲンは、構造的・力学的支持体となる細胞培養基質の共通成分です。適切なタイプのコラーゲンの選定に始まり、最適なフォーマット、表面処理、プロトコールの選択は、細胞タイプ、培養条件、ニーズによって決まります。

こうした事項を的確に選択していくうえで、製品とアプリケーションの両方の専門知識を兼ね備えていることは大きな優位性であり、特にワークフローの変更や新規構築の際に威力を発揮します。メーカー側にアプリケーションサイエンティストがいれば、アプリケーションや互換性に関する質問への回答、問題解決のサポートが期待できます。このような助言は、最適化、ワークフローやプロセスの効率化、細胞生存率向上、収量向上を通じて、研究や生産での難しいゴールを達成する一助になります。また、プロセスのスケールアップで円滑な移行の促進にもつながります。

そこで課題となるのが、最適なメーカーの選定

研究の進展は、日々使用する実験用品の品質や供給状況に左右されます。研究室が掲げるゴールに向けて、支援してもらえる生産パートナーを見つけることは、時間や労力をかけるだけの価値があります。

コーニング ライフサイエンスは、1915年から科学界と提携しており、研究室による中核研究やプロセス開発、本格生産の支援に当たってきた豊富な経験とノウハウがあります。所属のサイエンティスト、博士号を持つフィールドアプリケーションスペシャリスト、サポートスペシャリストが3D細胞培養細胞治療薬創薬スクリーニングといった急成長領域で研究室の支援体制を整えています。

品質を追求するためには、常に先手先手で予防的な措置を講じ、プロセス、製品、サービスを継続的に改善する必要があります。その場合、第三者が確認可能な品質認証制度で裏付けられた高度な滅菌基準のある厳格な品質管理システムが不可欠であり、業務の拡大・強化に向けた継続的な投資も必要です。コーニングは、需要増に対しては生産能力増強で対応し、自社での滅菌設備導入によりリードタイムを短縮し、グローバルな物流体制の合理化を通じて供給保証を実現しています。また、重要性の高い製品を優先的に扱い、将来的に危機的状況に見舞われることになっても安定供給ができるよう対策を講じています。

サステナビリティは、コーニングの重要な柱であり、循環性重視、プラスチック素材使用量の削減、再生可能エネルギーの利用を含め、継続的なESG改善の取り組みという視点に立ち、サステナビリティを製品設計の際の優先事項と位置付けています。

学び、成長、投資、改善を怠らない姿勢は、研究室が直面する多くの課題を乗り越えていく永続的なパートナーシップの基盤となるものです。実験用品が確かな品質を備え、期待どおりの納期で供給され、支援も確約されていること。それが成功への道なのです。

コーニングには確かな信頼があります。コーニングが選ばれる理由と題したページにその裏付けとなる優位性をまとめました。ぜひご覧ください。