Harnessing Next-Generation Cell Culture Methods in the Fight Against Cancer

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精密医療への展開をめざし、最新の患者由来3Dがん細胞培養法の開発に挑む米国研究所の取り組み

がん治療の分野で、夢の精密医療(個別化医療)が実現する日がいよいよ近づいています。個々の患者に最適な投薬治療を最適なタイミングで実施するという精密医療は昔から夢とされてきましたが、患者由来の3Dオルガノイド細胞培養の登場を受け、この夢がついに手の届くところまでやって来ました。採取されたばかりの腫瘍に由来するオルガノイドをわずか数週間で臓器様構造に成長させ、患者特異的ながんモデルを生成できるようになったのです。

ほとんどの研究所が、特定の種類のがんを対象にしたオルガノイド培養に特化する中、米国のコーネル大学医学部(WCMC)には、プラットフォームを主軸に独自のオルガノイド研究に取り組む研究所があります。それが、WCMC(ニューヨーク)のイングランダー精密医療研究所(Englander Institute for Precision Medicine; EIPM)です。ここでex vivoモデルの担当ディレクターを務めているのが、Laura Martin博士です。博士は、少なくとも11種類の固形腫瘍からなる120以上のオルガノイドのバイオバンクの管理者でもあります。これはがん創薬にとって願ってもない成果であり、EIPMが大都市病院に併設されていることも成功の要因になっています。

3Dオルガノイドプラットフォーム

すでに従来の3D細胞培養は、細胞微小環境の再現が必要な生物学的アッセイを始め、さまざまな生物学的アッセイに用いられています。3D培養法としてはスフェロイドとオルガノイドが主流になっていますが、Martin博士は、原発性腫瘍(腫瘍の種類を問わず)の細胞的・遺伝的多様性を再現するオルガノイドプラットフォームの開発をゴールに掲げています。このプラットフォームが実現すれば、患者での試験が困難と考えられる薬剤や薬剤併用の試験に用いることができます。しかしこれは「言うは易く行うは難しです。」Martin博士は「時として、がん患者から検体を採取しても、純粋な腫瘍細胞でなく正常細胞が混入することもあります。腫瘍の種類ひとつひとつに対して培地条件や増殖因子が最適化されていないため、正常組織が腫瘍細胞よりも増殖してしまうことがあるのです。」と説明します。

つまり、腫瘍生検検体から培養したにもかかわらず、最終的に正常組織になってしまい、廃棄せざるを得ない可能性もあるのです。5継代したオルガノイド株が得られることは、細胞株が正常に樹立されることを示す良好な指標と言えますが、その後も腫瘍確認アッセイや組織病理学などを含む一連の検査が必要になります。「オルガノイドの同定の確認試験が終われば、ようやく薬剤スクリーニングに進むことができます。」と博士は述べています。

特定の1種類のがんに対して機能するオルガノイドの樹立だけでも難易度は十分高いのですが、Martin博士は、併設の病院の患者から採取されるほぼすべての種類の腫瘍を対象とすることを目標としています。「ほかでは見られないユニークな点として、この研究所が病院に併設していて、常に現場の医師とコミュニケーションが取れる点が挙げられます。医師が患者を担当し、私たちが研究に当たるという役割分担が確立されています。」と博士は述べています。

新しい腫瘍オルガノイドの再現に伴う各種要件は、米国国立がん研究所(US National Cancer Institute)とオランダのヒューブレヒト研究所(Hubrecht Institute)が出資する「Human Cancer Models Initiative(HCMI)」という国際コンソーシアムが支援しています。「新しい種類の腫瘍の場合はとても難しくなります。文献も調べますし、大規模な共同研究を通じてさまざまな関係者から知見を集めることで、種類の異なる腫瘍の増殖条件を最適化していくことができます。」と博士は説明します。

そこで出番となるのが、適切な細胞外基質(ECM)です。線維芽細胞性間質の取り込みなど、腫瘍の微小環境を正確に再現するにはECMが不可欠であり、Martin博士にとってはこれ以外の選択肢はありません。

厳選されたマトリックス

EIPMでは「Corning® マトリゲル基底膜マトリックス」を採用していますが、実はMartin博士がポスドク研究員時代に初めてその多用途性を発見したのです。「ポスドク時代に所属していた研究室でオルガノイドのテストに着手しました。さまざまなECMをテストしてみて、多様なオルガノイドで高い有効性を発揮したのは、マトリゲル基底膜マトリックスだけでした。マトリゲル基底膜マトリックスで200ものオルガノイドを作製してきたので、ほかの製品に変えるのはちょっとためらわれますね。」

Martin博士は、増殖に用いるマトリックスを腫瘍によって変えることは一般的に有益ではないと指摘します。腫瘍は極めて「独特」な存在であり、良好な最終結果を得るためには、何らかの変更を加えることは一般に望ましくないことがわかっています。またこのことは、がんオルガノイドモデルでは特に重要です。その理由として「患者を正しく反映するモデルを用意して、その患者に提供するものをテストすることが目的だからです。」と博士は説明します。

今後の展開

Martin博士は、今後の展開でオルガノイドがん細胞モデルとその薬剤スクリーニングへの活用が進む領域として2つを挙げています。1つめは腫瘍微小環境の培養です。「今、オルガノイド技術を新たなレベルに押し上げ、特異性や精度をさらに高めて腫瘍の形態を反映すべく取り組んでいます。もっと自動化を進めた培養システムも可能ですが、現時点ではそこまで取り組めるスペースも体制も整っていません。」と説明します。

もう1つは、薬剤試験の最終部分です。これについて博士は次のように述べています。「私たちが開発しているのは、ハイスループットの薬剤スクリーニングロボティックプラットフォームで、それにより薬剤スクリーニングを自動化できるようになります。」