オーガン・オン・チップの登場により医薬品開発が劇的に加速する可能性があります。しかし、合成環境下で組織化された特定の細胞培養モデルを使用することでいかなる生物学上の課題をも解決できるわけではありません。例えば心臓の極めて重要なポンプ作用を担う心筋細胞のように、より専門的なアプローチを必要とする細胞培養モデルもあります。
そこで、オルガノイド・オン・チップ技術の出番です。
オルガノイドは、ある細胞集団のin vivo環境を模倣した人工的なモデルです。オルガノイド・オン・チップは、このような環境を再現し、単一なプラットフォームの便利な実験用ツールで、自動化装置に組み込める強みを持ちます。心臓オルガノイドを乗せたチップの場合、埋め込まれた電極により、細胞の電気的活動を3次元で読み取り、測定値を記録することができます。
電子オーガン・オン・チップと呼ばれるこの電極を利用したイノベーションは、心臓電気生理学の研究に革命をもたらし、救命につながる治療をより早く市場に出すことができる可能性があります。