Predictive Pharmacology: Novel 3D Drug Testing Systems For Improved Predictive Accuracy | 3D Spheroid Pharmacology | Corning

スフェロイドの薬理に特化した前臨床開発業務受託機関を訪ねて

この記事では、3D薬理学サービス提供企業のBIOENSIS社における科学指導責任者である研究・開発VP、Gonzalo Castillo博士に、2D薬理学の限界の克服についてと、2Dおよび3D細胞培養両方を用いた薬理学的アッセイの予測能の改善に関してお話を伺いました。

BIOENSIS社と、3D細胞薬理サービスの技術について教えてください。

BIOENSIS社は、スフェロイドの薬理に特化した前臨床開発業務受託機関(CRO)です。当社の新しい3D薬物試験システムは、下流の開発における高額なコストを抑えつつ、in vitroからin vivoへのより正確な予測を可能にします。当社は3D細胞モデルの持つ力を活かして、現在のin vitroでの方法よりも優れた、より予測可能な薬理学を提供することを目指しています。オンターゲットおよびオフターゲット両方のアプリケーションにおいて、in vitro 3D細胞培養を活用しています。

オンターゲットについては、主にがん研究にサービスの重点を置いてきました。当社は3D細胞モデルの幅広いパネルを有しています。それは、腫瘍由来の細胞株で、顧客のために日常的に、細胞毒性アッセイ、浸潤・遊走アッセイ、組み合わせアッセイ、および顧客特異的なアッセイなどで試験されています。顧客とは1対1の協力作業で、ニーズに合わせてアッセイをカスタマイズしています。さらに、当社の免疫腫瘍学プラットフォーム治療用抗体を3D微細組織に導入したばかりです。オフターゲットに関しては、主に毒物学に焦点を当てたオルガノイドモデル一式を開発しているところです。 

当社の3Dモデルに使用している技術の中に、Corning® Elplasia®プレートおよび超低接着(ULA)表面を特徴とするCorningスフェロイドマイクロプレートがあります。このプラットフォームは頑健で柔軟性があり、スケール変更が可能なので、ハイスループットのフォーマットで信頼できる結果を提供することができます。

2Dと3Dのがん研究スクリーニングの違いを教えてください。

当社のモデルは全て2Dおよび3Dプラットフォームの両方でバリデーションを行っており、顧客のニーズに応じて日常的にその両方で検体を試験しています。2Dプラットフォームで得られた情報は、薬剤の作用機序の発見に役に立ちます。他方で、3Dモデルは薬効に関連する情報を得られる点で有用です。3Dモデルは組織の複雑性をより良く把握できるため、in vivoでの薬剤応答をより正しく予測することができます。免疫腫瘍学に関して当社では、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE)の活性を評価するために、抗体依存性細胞障害(ADCC)およびT細胞媒介性腫瘍細胞溶解の治療用抗体の有効性評価を可能とする新しい2D/3Dプラットフォームを最近導入しました。

この免疫腫瘍学的2D/3Dプラットフォームにより、細胞-細胞間相互作用、代謝勾配、および抗体の拡散と分布を説明する有効性を評価するためのより精密なモデルができるようになります。

3Dシステムにはどのような利点があるのでしょうか?

単層細胞を用いて行われている研究では、臓器または腫瘍微小環境の既知の複雑性を必ずしも再現していないため、in vitroを用いたin vivoの予測に限界がある可能性があります。3D細胞培養では、細胞-細胞間相互作用、腫瘍微小環境、および代謝勾配の形成を説明することができます。2D細胞培養に欠けている3D細胞培養のもう一つの利点は、混合細胞集団を試験する場合の自然な複雑性をスフェロイドの形成と試験に与えられることです。これらの因子は、薬剤の有効性および耐性を理解するために極めて重要です。スフェロイドの3D組織培養は、in vivo腫瘍応答の再現により近づく一歩として、薬物候補を決める際の予測力を高めることができます。

スフェロイドの培養に使用している技術や装置について教えてください。異なる細胞株に関して困難なことや、試験済みの方式がありますか?

私たちの仕事では、顧客のニーズに柔軟に対応する必要があります。完璧なカスタマイズアッセイを構築するために顧客と1対1で協力して作業すること、それが私たちが得意とするところです。3Dモデルの作製においては、モデルごとに異なる装置、方法、および/または技術を用いる場合もあります。その一例として、当社の細胞株プロファイリングプラットフォームがあります。このサービスでは、当社の自動化されたハイスループットプラットフォームを利用して、日常的に150程度の腫瘍細胞株を2Dと3Dの両方で並行して評価しています。このアッセイ系は完全に検証されていますが、各顧客のニーズに応じて日常的にカスタマイズしています。社内の研究開発や長年の経験によって、3Dモデルを迅速かつ成功裡にカスタマイズするための特別な手法が開発できています。緊密な微小環境制御がスフェロイド形成の成功につながることがこれまでの経験からわかっています。 

このアプローチにおける今後の3D細胞培養の課題と可能性はどこにあると思いますか?

臓器と疾患の3Dモデルの構築は不可能と思えるほど大変なことかもしれません。3D腫瘍モデルの場合、スフェロイドを形成させ、かつその後の実験期間中も生存させるために最適な微小環境を見つける必要があります。腫瘍の不均一性を再現する必要がある場合もあります。こうした微調整を行うため、モデル一つひとつに困難が伴います。

私たちは日常的に当社のモデルをカスタマイズしていますが、3D細胞モデルに含まれるあらゆる構成要素を厳密に制御し、検証しなければなりません。カスタマイズ作業は複雑かもしれませんが、その結果できあがるモデルでin vivoの結果をはるかに正確に予測できるようになるでしょう。

3D細胞培養の可能性は無限です。まだまだ可能性のあるマーケットで、3Dモデルがin vivoの結果をより正確に予測できることが急速に明らかになりつつあります。このため、当社では先頃3D微細組織における治療用抗体の有効性評価を可能とする 2D/3D抗体依存性細胞障害(ADCC)活性およびT細胞細胞毒性のアッセイを含めた免疫腫瘍学プラットフォームのサービスを開始しました。今後数週間のうちに、抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性検査能を追加する予定ですが、これが私たちの分野にとっての将来の方向性であると信じています。

現時点で、ご自身の専門分野における最大の科学的ニュースは何ですか?

いい質問です!現時点でのin vitroにおける最大の科学的ニュースは、臓器および疾患の3Dモデルがin vivoの結果の先導的な予報値として受け入れられたことだと思います。3Dモデルの予測値はがん研究および毒性学において十分なレベルに達しつつあり、再生医療や個別化医療における新たな3Dモデルでもその兆しがあります。