BILODEAU: それは、個々の系によるのと、ほかにもいくつかの条件によって決まります。第1に、動的な培地の流れがある中で、使用する細胞タイプが基質上でしっかり増殖できるかどうかです。第2に、細胞回収の必要があるかどうかです。まず第1のポイントですが、循環・還流的プラットフォームによって培養表面材料が異なるため、最適化や適応が必要になることもあります。また、トラブルシューティングを重ねながら系に適した循環速度を決定する必要もあります。これと対照的なのが、Corning CellCubeシステムです。CellCubeモジュールの培養表面は、細胞培養用処理済みポリスチレンです。つまり、標準Tフラスコの培養播種がそのままCellCube表面にも適用できることを意味します。CellCubeモジュールのプレート1枚が850 cm2のローラーボトルの表面積と同等のため、一般にローラーボトルで培養できる細胞に特に適しています。また、使用する細胞の剥離が必要で、接着性が弱い場合、CellCubeモジュールには細胞接着性を強化したCorning CellBIND® 表面もあります。
第2のポイントはアプリケーションです。他の循環・還流的培養プラットフォームの中には、細胞回収が障害になるものもあります。そのような特定のシステムは、循環培地中に遊離する細胞外小胞やレンチウイルス(LV)などの細胞製品の回収を目的としたアプリケーションのほうが適しています。一方、Corning Ascent® Fixed Bed Bioreactorシステム(日本未発売)やCorning CellCubeシステムなどは、循環培地の回収並みに容易に細胞を回収できます。つまり、CellCubeシステムは、幹細胞培養から、細胞・遺伝子治療アプリケーション向けのウイルスベクター製造、さらにはワクチン製造に至るまで、あらゆる用途に適しています。