Liquid Handling Best Practices: Mastering Technique

科学研究の価値は正確性、信頼性、再現性にかかっています。多くの場合、多量の液体のピペッティングで有効な計量値が得られることを意味します。こうしたピペッティングには高い精度が求められますが、その気になれば避けられたはずのミスで、精度が揺らいでしまうことも事実です。このようなミスは、リキッドハンドリングのベストプラクティスを上手に生かせば、回避できるものです。

そこで、正しいピペッティング、自動化の価値、高度な機器の利点、回避すべきミスについて見ていきましょう。

リキッドハンドリングのプロトコールとは?

ピペッティングの結果に信頼性が持てるかどうかは、結局のところ、使用者のスキルによるところが大きいのです。言い換えれば、ミスを犯しやすいかどうかが問われます。以下に挙げる上手なピペッティングのコツを守れば、ミスを最小限に抑えることができます。

  • 適切なピペッターを選ぶ: 一般に、ピペッティングは、使用するピペッターの公称容量の35〜100%を使用します。例えば、100 µLをピペッティングする場合、容量有効範囲が100〜1000 µLのピペッターよりも10〜100 µLのピペッターを選びます。つまり、必要な液量に対して容量範囲が最小のピペッターを選ぶといいでしょう。
  • 温度に気を付ける: 温度は液量に影響を与えます。20°C〜25°Cの一定温度下でのピペッティングが最も正確性が高まります。
  • 適切なテクニックを使う: ピペッターを垂直に持って液面付近で吸引し、1秒待ってからピペッターを引き上げ、ゆっくり分注します。
  • プレウェット: 10 µLを超える容量の場合、ピペットチップをあらかじめ溶液になじませるプレウェットで正確性が高まります。
  • チップを交換する: クロスコンタミネーションを回避するため、溶液を変えるときはチップを交換します。チップ交換により、ミスは4%低減します。
  • ピペッターはスタンドに垂直に保管する: ベンチにピペッターを水平に置いたままにすると、残っている溶液が内部の部品に入り込み、腐食が生じる恐れがあります。手の温もりは、熱平衡やサンプルの液量に影響を与えます。
  • 洗浄とキャリブレーションは頻繁に: ピペッター本体外側の表面をイソプロピルアルコールで拭き常にきれいに保ち、一貫した計量になるように少なくとも年に1回はキャリブレーションを行います。

 

リキッドハンドリングのベストプラクティス

研究室スタッフが実験中に2時間以上休みなしにピペッティングを続けることも珍しくありません。しかし、この反復的な動作を続けていると、悪影響が生じることがあります。実際、連続的なピペッティングが1時間半を超えると、反復運動過多損傷(RSI)と呼ばれる、手や肩の障害(損傷・炎症)のリスクが高まります。

1回のピペッティング時間に上限を設けることに加え、以下の人間工学に基づくリキッドハンドリングのベストプラクティスを取り入れれば、結果も一貫して向上するようになります。

  • 作業時は、手は肩より低い位置にします。バイオセーフティキャビネット内などでの窮屈な姿勢の作業は避けます。
  • 無理のない楽な位置で手首を保持し、手首や肘を不必要に伸ばしたり回転したりするような機器の使い方は避けます。
  • 必要なものは、すべて前腕を動かせば届く範囲内に配置します。必要な機器に絶えず手を伸ばす動作を続けていると、肘の腱に過度の負担がかかります。
  • 硬い面に肘をつかないようにします。そのような姿勢を続けると、手のしびれやヒリヒリ感、肘の内側に痛みを生じることがあります。
  • 研究室のベンチの高さで快適に作業できるように、椅子に座ったときの位置を調節します。

また、ピペッティングばかり続けずに、こまめに他の作業も入れます。また、片方の手を酷使しないようにピペッターを適度に持ち替えるようにします。30分ごとに休憩を取り、立ち上がって動き回りましょう。
 

ピペッティングソリューション

コーニングは、正確性と信頼性に優れたピペッティングに特化した多彩な製品を取りそろえています。こうした機器は、人間工学に基づいた特長をいくつか備え、次のようなリキッドハンドリングのベストプラクティスをサポートしています。

  • 楽に握れるハンドル形状で、操作の手間や身体への障害の可能性負担を低減
  • フィンガーフックと丸みを帯びた形状で本体を無理なく握れる
  • 軽量のため、手の疲労が軽減
  • ピペッティングもチップ取り外しも軽い力で済むため、RSIのリスクが低減

多量の溶液の移し替えには、コーニング製のほとんどのプラスチックボトルやガラスボトルと互換性のあるボトルトップディスペンサーの使用をお勧めします。これは高精度の機器で、有機液体、無機液体の分注に広く使われているソリューションです。素早く正確な液量設定に対応し、3ポジションの吐出チューブ(分注、サンプル回収、液戻し)を搭載しています。360°回転可能なバルブブロックを搭載し、簡単に正確な分注が可能です。

 

リキッドハンドリングにありがちなミス

最先端のピペッティング機器を使う場合であっても、犯しがちなミスがいくつかあるため、これを避けるためにはリキッドハンドリングのベストプラクティスをしっかり守ることが大切です。ここからは、ありがちなミスの例を見ていきましょう。

  • 液体粘性の評価忘れ: 高濃度の液体は吐出に時間がかかります。低濃度の液体は吐出速度が速く、蒸発することもあります。
  • 分注操作が速過ぎる: ピペッティング操作を急ぐと、液量間違いやコンタミネーションにつながる恐れがあります。
  • ピペットチップの使い回し: 異なる液体サンプルの吸引・吐出に同じピペットチップを使い回すと、コンタミネーションの温床になります。
  • ピペッターメンテナンスの軽視: 不適切なメンテナンスは、液量計量ミスやコンタミネーションにつながる恐れがあります。日々の洗浄が不可欠です。
  • キャリブレーションを実施しない: 最低でも年に1回はピペッターのキャリブレーションを行います。正確性を確保するには、3カ月ごとのキャリブレーションが理想的です。
  • 操作時の角度の誤り: 吸引は90°、吐出は45°の角度で行います。
  • 空気の吸い込み: ピペッター内に空気を吸い込むと、ピペッターのネック部分に入り込み、液量が不正確になります。
  • ピペットチップを深く浸し過ぎる: 常にサンプル液面からの吸引を心がけ、空気を吸い込まないように注意します。
  • ピペッターの保管が不適切: コンタミネーションや腐食を防止するため、ピペッターは必ず垂直に保管します。
  • 不適切なチップの使用: 正確性を確保し、コンタミネーションや空気の吸い込みを抑制するため、使用するピペッターに合ったサイズのチップを選びます。
  • チップのプレウェット忘れ: あらかじめピペットチップを溶液になじませておくと、溶液の蒸発を最小限に抑えられます。10 µLを超える液量には、プレウェットを推奨します。
  • 温度の管理をしない: 温度で液量が変化することがあります。正確性を高めるためには、ピペッティングは室温下で行います。

再現性ある結果をサポートする正確性と信頼性に優れたピペッティングは、価値の高い科学研究の重要な一角を担います。今回ご紹介したリキッドハンドリングのベストプラクティスにより、繰り返し実施する研究の質を高めることができます。