破損しにくく、漏れ防止構造採用の画期的なPET製培地ボトル

細胞培養実験に最適なボトル選びのために知っておきたいポイント

生物学的試薬や化学試薬は、純度や組成の完全性が保たれるように適切に保管しなければなりません。少しでも純度が低下すると、コンタミネーションが発生する可能性があり、その結果、実験は不正確になり、データは使い物にならなくなります。細胞培養アプリケーション用の培地や血清を保管する場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂かPETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)樹脂がおすすめです。この2つの樹脂は同じグループとして扱われることが多く、名称も似ていますが、PETG樹脂は、耐破損性の高さで定評のあるPET樹脂をさらに改良した素材として登場しました。実際、どれほど違うのでしょうか。細胞培養保管用に選ぶとすれば、どれが最適なのでしょうか。

水溶液保管の需要の高まりを受け、コーニングでは、最新のPET製培地ボトルを幅広く取り揃えています。原料に用いられるPET樹脂は、ボトルの軽量化につながるほか、耐破損性やガラス並みの透明性も確保します。ボトルとしては、最高レベルのUSP(米国薬局方)Class VIに適合し、無細胞毒性と非溶血性が確認されています。扱いやすく、人間工学的にも優れていて、長期的な維持コストや置き換えコストを抑えられるとあって、ガラス製に代わる効率的な選択肢になっています。

新しい漏れ防止キャップ

PET製培地ボトルで最初に目につく特徴は、コーニングの最新にして最も革新的なHDPE製キャップが採用されていることです。IATA包装基準650でバリデーションされ、他のPETG製ボトルに一般的に採用されている従来型キャップに比べ、圧倒的な漏れ防止性能を発揮する設計になっています。コーニングのHDPEキャップは漏れ防止構造を採用しているため、ボトルの航空輸送にも適しており、その汎用性は突出しています。

低温ニーズにもしっかり対応

PETは堅牢性にも優れ、幅広い温度範囲で使用されることも少なくありません。Corning PET製培地ボトルの場合、定期使用の場合の耐寒性は-40℃です。試薬や緩衝液の長期保管の場合、耐寒性はさらに低温の-70℃まで対応します。このような堅牢性に優れたボトルは、低温領域での耐性に加え、内部圧力については最大95kPaの耐圧性を備えています。コーニングでは、自社のPET製培地ボトルと他社のPETG製ボトルを対象に、血清を-80℃で30日間保管した場合の比較試験を実施しました。PET製ボトルには物理的変化は観察されず、細胞培養に使用した各血清の性能もまったく変わっていませんでした。この結果から、圧力変化や温度変化に対して、PET製培地ボトルは、PETG製に匹敵する優れた性能を備えていることがわかります。

もうボトル破損に悩まない

ガラス器具からポリマー樹脂製に切り替える大きなメリットの1つに、優れた耐破損性が挙げられます。実際、破損は、本来避けられたはずのコストがかかるうえに、研究室の安全上のリスクにもつながりかねません。PETとPETGのどちらも物性面でこの耐久性が備わっていますが、PETGが登場した背景には、ボトルの柔軟性や順応性を高め、PETの弱点をさらに解消する狙いがありました。コーニングが実施した別の調査では、PET製八角型ボトルとPETG製角型ボトルにサンプルの細胞培養液を入れ、-70℃で48時間保管後、続いて-40℃で48時間保管した場合のそれぞれの機械的特性を比較しました。低温保管後のそれぞれのボトルを、Lansmont落下試験機を使い910 mmの高さからスチール製の表面に落下させて、目視で評価しました。その結果、両製品はほぼ同等の機械的特性を示し、PET製ボトルは耐破損性の高さで依然としてPETG製と遜色ないことがわかりました。

細胞培養ニーズに対応

弾力性を備えながら、ガラスに似た特性も保持しているPETとPETGは、ガラス製保管ボトルに取って代わる代替品として筆頭格に挙げられます。PETGの開発は、PET樹脂の脆弱性を抑える狙いがありましたが、今回紹介した調査結果が示すように、どのような意図や目的であっても、PETはPETGと比べて特性面で遜色がありません。耐破損性、温度変化や圧力変化への耐性、漏れ防止構造のスクリューキャップの採用など、Corning PET製培地ボトルは、細胞培養アプリケーションのニーズにあらゆる面で的確に応えます。