比色分析法か、発光法か、それとも蛍光法か? ELISAの検出法の選び方

ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)は、溶液中のペプチド類、ホルモン、その他の抗体分析物の測定に使われる測定法です。酵素免疫測定法(エンザイムイムノアッセイ、EIA)とも呼ばれ、シグナル検体濃度に対する抗体と結合するレポーター分子を使用する、とStat Pearls誌に記述されています。英国免疫学会(BSI)によれば、ELISAは多くの場合、プレートを用い、ひとたび検証が完了すれば自動化も容易で、強力な抗原抗体相互作用を生かして性能を高めることができます。

ELISAの基本

ELISAは元々、ラジオイムノアッセイ(RIA)で広く使われている放射性ヨウ素標識の代替法として開発されました。通常、96ウェルプレートフォーマットを使い、抗原(直接ELISA法、間接ELISA法)か抗体(サンドイッチELISA法、競合ELISA法)をウェルに固相化します。ブロッキング、洗浄、検出の一連の流れを通じ、検査対象である生体試料の分析物の濃度を測定します。その際、通常は、既知濃度の抗原の段階希釈曲線または標準希釈曲線を比較対象とします。

分析物定量化のための酵素変化

ELISAで一般的に使われている検出法には、比色分析法、発光発光、蛍光の3種類があります。コーニングのアプリケーションノートに解説されているように、いずれの検出法も、分析物の濃度に応じて、通常は発色性の反応液に定量化可能な変化が表れます。ELISAのプロセスの最後に試薬として酵素結合レポーターと反応する酵素基質を添加すると、変色が生じます。

ELISAレポーター分子

抗体に結合する最も一般的なレポーターには、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β-D-ガラクトシダーゼ(BG)があります。いずれも安定性があり、標準的なアッセイ条件下で不活性で、比較的使いやすい特長があります。

HRPは分子量が小さいため、アッセイ用抗体と結合しても、立体障害がなく、抗原結合性を妨げることもありません。しかし、アジ化ナトリウムなど特定の一般的な防腐剤に影響を受けやすく、生体サンプルの内因性ペルオキシダーゼ活性にも影響を受ける可能性があります。ELISAでは、通常、十分な洗浄を徹底することが干渉の軽減につながります。

APは分子量が大きいため、立体障害を回避するよう注意を怠らないことが大切です。検出でも厳格な条件が求められるため、AP特異的アッセイ緩衝液を使用します。BGは分子量がさらに大きいものの、湿潤剤として使用するアルコールで検出精度が高まることから、ドットブロットなど親水性膜表面として好まれています。

ELISAの検出法

ELISAアッセイは、アッセイの最終ステップで加えた酵素基質でのレポーター分子の作用を測定して判断します。基質の選定はアッセイ形式によって決まります。例えば、ドットブロットなど膜結合反応には、不溶性が最良の最終結果につながります。

その他の検討事項としては、想定濃度範囲やアッセイのタイミング、感度、使用する検出装置が挙げられます。例えば、幅広い濃度が想定されている場合、反応時間が15〜30分間の酵素基質を使うと、最良の結果が得られます。非常に低濃度の分析物を対象とした高感度アッセイの場合、速効性に優れた基質が求められます。時限的エンドポイントのあるアッセイでは、読み取り前に反応を停止して安定化させる終結反応ステップが入ります。また所定時間内に複数の測定を行うことにより、変換率をモニターし、動態解析を実行できます。

比色分析法検出は、可視光域で定量化可能な変色を呈し、濃度に応じて吸光度が変わります。プレートの読み取り前に、すべてのウェルで均等に発現するよう一貫してインキュベートすることが重要です。

蛍光イムノアッセイは、特定の光波長で励起されると蛍光を発する酵素基質を使用します。通常、比色分析法と同等の測定感度がありますが、対象は高濃度の分析物に限定されません。つまり、圧倒的なシグナル強度がなくても検出できるため、正確な読み取りが可能です。

発光検出は、生体基質で発光するバイオルミネセンスか、化学反応に伴って光子が放出されるケミルミネセンスを利用します。発光は、シグナル増倍・増幅との親和性の高さから、ELISA検出で最も高感度の測定法と考えられます。

最良の結果を出すためのELISA用実験器具の選び方

出発物質が鍵を握ります。それぞれのELISAに適した実験器具を選ぶことが重要です。マイクロプレートのデザインのように単純なことでも、収集データに影響を与えることがあります。反応のエンドポイントでは光を測定することから、ELISA検出法が比色法の場合はクリアタイプのプレート、蛍光の場合は黒色プレート、発光の場合は白色プレートを選びます。

例えば、蛍光アッセイの測定では、ウェル間での光散乱を抑える材料を使用することが重要です。蛍光アッセイ用に設計されたプレートを使えば、プラスチックからの蛍光を拾わずに済みます。研究者としては、特定の生体由来の物質がバックグラウンド蛍光を発することを意識しておく必要があります。適切な希釈によりこの干渉を防ぐことができます。

ウェル内の十分な混合も大切です。研究室環境ではマイクロプレートシェイカーか、振盪台搭載のプレートリーダーの使用も検討してみましょう。ワークフロー最適化もデータ品質向上につながります。分析物の蒸発防止や適切なピペット操作の徹底により、エッジ効果を最小限に抑えると、マイクロプレートのすべてのウェルで偏りのない良質な結果が得られます。

研究室のあらゆるプロトコールと同様に、アッセイデザインに配慮し、研究対象の分析物を理解することが、ELISA成功の鍵を握っています。