Custom Cell Culture Media | 5 Things to Consider When Customizing Cell Culture Media (and other Reagents) | Corning

研究室の規模やスケールに関係なく、培地や血清、試薬のカスタマイズが必要になる場面があります。標準仕様の研究用製品は、多くの製造ニーズに応えてくれるものですが、標準仕様がプロジェクトにうまく適合しない場合、カスタム製品の調達を検討することもあります。

カスタマイズされたソリューションが最大のメリットがもたらすシナリオとしては、細胞培養培地や洗浄液、凍結保存液の新組成開発や、充填許容範囲コントロールのための正確な量のパッケージングなど、あらゆる研究領域に当てはまります。

アプリケーションの柔軟性という面では、カスタムソリューションであれば、組織プロセシング・再生医療、ワクチン製造、下流工程の精製などの領域の研究・製造の幅広いニーズに対応できます。しかし、カスタマイズが適しているのは、特殊分野だけではありません。実際、日常業務にカスタム製品を使って成果を上げている研究室が増えています。

ただし、落とし穴もあります。カスタマイズには、考慮しておきたい点がいくつもあるのです。一つひとつのポイントを丹念に検討しておけば、リスク、コスト、リソースを抑えつつ、カスタマイズの効果を引き出す最適な体制が整います。

研究用製品のカスタマイズを計画するに当たって、考慮しておきたいポイントをご紹介します。

1. 内製化はコストも苦労も覚悟で

特にフットワークのいい小規模の研究室であれば、もうすでに自作することを検討しているはずです。しかし、コーニング ライフサイエンスの培地製品担当者は、そのような方針を取る場合、それなりの苦労も覚悟しておくべきだと言います。

「自社スタッフを動員して何かを作る場合、コスト構造を意識しませんが、だからと言って、長期的に見てコストが発生しないわけではありません。」と製品担当者は言います。「研究者は、自前で管理したほうが安上がりと考えるかもしれませんが、ラボ内のさまざまな場所でさまざまなものを作っていると、ある日突然、手に負えなくなります。」と製品担当者は付け加えます。

ラボ独自の組成は当初は費用を抑えることができても、ワークフローが特殊で細分化してくると、調達一本化による原料コスト削減の余地がほとんどないにもかかわらず、現行のGMP(医薬品の製造・品質管理に関する基準)準拠は徹底しなければなりません。一貫性のない、つぎはぎ型のプロセスへの依存度が高まれば、コーニングのようなメーカーが持つ購買力や規制面のノウハウ、強靭なサプライチェーンといったメリットが得られなくなります。

2. カスタマイズ対象となるのは組成だけではない

カスタマイズでは新たな組成の細胞培養培地やその他の溶液が必要とされることが多いですが、カスタマイズの対象となるのは、こうしたものだけではありません。標準製品であっても、パッケージングを変えるようなカスタマイズがあります。

大バッチサイズの洗浄液やオーダーメードパッケージングにカスタム充填した標準培地などの購入は、コスト削減につながるだけでなく、無駄や計量ミスのリスクを抑えられます。

「多くの場合、研究現場では分量に関して非常に特殊な要件が発生します。例えば1.1 Lの培地が必要だとして、ほかにも使用前に培地に添加するものもあるので、充填量の許容範囲に関してはとにかく正確にしたいというケースがあります。その都度、間違いなく必要な充填量になっているか確認したいわけです。すべてのボトルに指定量が充填済みになっていれば、ワークフローに合わせる作業ははるかに簡単になります。」と製品担当者は言います。

しかも、コーニングなど一部のサプライヤーは、カスタム培地の製造に対応しており、最終的にお客様によるオリジナル組成の販売も視野に入れることができます。

「カスタムソリューションは、社内だけの使用に限定すべきではありません。受託製造契約に当たっては、カスタマイズ製品を購入するだけでなく、お客様ブランドによるOEM製造や再販の可能性も常に検討しておきたいものです。」と製品担当者は話します。

3. 計画が大切

カスタマイズ型のソリューションは、要件によってそれなりのリードタイムがあり、小スケールの場合で数週間、cGMP完全準拠製造の場合で月単位のリードタイムを見込んでおく必要があります。事前にサプライヤーとの連絡をこまめに取り、要件や希望納期についてしっかりと話し合っておきましょう。

コーニング ライフサイエンスのカスタム製品担当者は、「コーニングでは、ほとんどの少量オーダーは納期が3〜4週間以内です。大量になると、12週間ほどの納期とお考えください。」と説明します。

また、高度なプロジェクトや繊細な内容のプロジェクトの場合、さらにリードタイムが必要になることもあると製品担当者は付け加えます。

「プロジェクト開始の6カ月とか8カ月前から、共同で作業を進めたいとおっしゃるお客様もいます。通常、サプライヤー側にはたくさんお伺いしたいことがあります。そこで何度もやり取りや定期的な打ち合わせを重ねて、すべてが整ったところで最終的な購入オーダーを提示することが大切です。」と製品担当者は言います。

4. カスタマイズは大規模研究室や資金の潤沢な研究室だけのものではない

かつてはコストがカスタマイズ型ソリューションの障壁でしたが、カスタム製品担当者によれば、それは過去の話だそうです。パイロットテストや小バッチの選択肢が増える中、学術研究室や小規模バイオテック企業といった中規模スケールではオーダーメード培地のメリットが活かせます。

カスタム製品担当者は、次のように説明します。「手ごろな選択肢であることに皆さんが気付き始めています。スケールアップ計画があるかどうかにかかわらず、どのバッチサイズでも予算重視の選択肢があります。つまり、オリジナル組成のテストにわざわざ1000 Lサイズを購入する必要はないのです。手始めに100 Lでも20 Lでも、場合によっては5 Lでも購入可能です。」

小スケールバッチに関してサプライヤーを比較する際、無料相談サービスに対応しているかどうか確認しておきましょう。例えばコーニングでは、すべてのお客様を対象に、無料カスタマイズサービスを提供しています。

5. サプライチェーンが供給途絶に強いかどうか確認を

メーカー各社がCOVID-19の治療法やワクチンを開発する顧客に重点を置く体制へと軸足を移しており、パンデミックのしわ寄せで多くのサプライチェーンが苦戦しています。第三者プロバイダー経由でカスタマイズ型ソリューションの導入を検討している場合、市場が混乱した場合の対応方法や供給維持対策を確認しておく必要があります。

「現在、当社ではたくさんのお客様からお問い合わせをいただいています。お話を伺うと、以前取引のあった供給元がオーダーどおりに納入できなくなってしまったそうです。」と製品担当者は言います。コーニングでは、パートナー基盤の多様化や需給逼迫の予測に力を入れ、強靭性を重視したサプライチェーンを構築しています。「一部のサプライヤーの供給力が低下したために、多くの小規模のお客様や動物用医薬品関係のお客様が後回しになっているのです。」と製品担当者は付け加えます。

カスタマイズの真価を引き出すために

カスタマイズはあらゆるお客様にとって意味のあるものですが、実際のカスタマイズに当たっては、長期的に負担となって返ってくる恐れのある重要事項を見落とさないように注意が必要です。こうした点を考慮すると、要件に最適な既製ソリューションの調達をめざすことになるはずです。

カスタマイズ型ソリューションの開発にお困りですか。コーニングにご相談ください。お客様のニーズに適した製品づくりをご支援します。