求人側企業の視点
コーニングはライフサイエンス実習生プログラムに関わり始めたばかりですが、大きな手応えを感じています。実習生第1号となったAustin氏は、すでに業務体験担当チームと接触しながら、将来に向けて大きな可能性を見出しています。
「伸びしろは常にあると(コーニングの同プログラム責任者である)Sylvia Jarest氏から説明を受けました。お話をして、この世界こそが自分の居場所なんだという思いが強まっています」とAustin氏は話します。
その思いはJarest氏も同じで、コーニングでは、Austin氏がスタートラインに着くまでの準備段階を全面的に支えてきたと言います。
Jarest氏は次のように説明します。「当社では、今年からこのプログラムに参加しています。プログラムの講師数人と相談して、7月にはある講義に参加し、当社の業務内容を紹介したうえで、職場で新人が遭遇しそうな現実的な状況について話し合いました」
コーニングの担当チームからは、人間関係づくりの方法やコーニング ライフサイエンスへの研究技術者の貢献度について情報を提供しました。Jarest氏は、熱意のある実習生を新規採用すれば大きな価値を発揮してくれるはずと自信をのぞかせます。
「実習生には、ライフサイエンスの基盤となる基礎知識を身につけ、研究室での実地トレーニングを受けていただきます。こうすることで、職場に適応しやすくなり、トレーニング期間の短縮につながります」(Jarest氏)
バイオテック業界のキャリアの道を開くライフサイエンス実習生制度
「高校を卒業しても、どの道に進めばいいのか自信が持てなかった」と語るAustin氏は、エンジニアの家系に育ったこともあって、まずはその道をめざしました。そのような家庭環境に育ち、エンジニアリングの考え方に精通していたため、本人に言わせれば安全な道を取ったそうです。「大学で1年ほどエンジニアリング分野を学んでみましたが、自分にはあまり合いませんでした」
実習生となったAustin氏の目には、教室での講義が極めて貴重なものに映りました。生物学、真核生物と原核生物の違いに始まり、ピペットによる正確な計測、標準作業手順書の重要性、品質の一貫性を維持するQAに至るまで、トレーニング内容は多岐にわたりました。
「今までで一番おもしろかったのは、研究室での体験です。使用する機器やPPE(個人用防護具)の正しい装着方法に慣れるいい機会になりました」とAustin氏。
Austin氏は、対面の授業のほうが肌に合っていることもあり、教室での講義にもすんなり馴染むことができました。気づけば、緩衝液の調製作業やバイオセーフティキャビネットでの正確な溶液の作り方の学習にのめり込んでいたと言います。
また、グループ作業やチームとしての課題にも楽しみながら取り組みました。ある課題では、サステナビリティの問題が持ち上がったため、研究室でのプラスチック製品の正しい使用法や選定法をグループで検討したそうです。さらに、実習生プログラムの効果を最大限に引き出す鍵となるのは、広い心で自由闊達にコミュニケーションできる風通しの良さだとAustin氏はアドバイスします。
「これからMassBioEdのプログラムに参加する皆さんにぜひお勧めしたいのは、先入観を持たず広い心を持ち、学びの姿勢を忘れずに、与えられた課題に全力で取り組むことです。最大の秘訣を1つ挙げるとすれば、コミュニケーションです。このプログラムではコミュニケーションがものを言います」とAustin氏。
さらに、この教育プログラムは、学歴や経歴を問わず、しっかりと受け入れて後押ししてくれるとも。
「たとえ科学の心得がなくても、教える側が上手に導いてくれます。学習が進むにつれて、内容も高度になっていきましたが、その辺りから学習のペースもぐんと上がっていきます」(Austin氏)
いよいよ業務体験期間が始まることについてAustin氏は、少し緊張気味ですが、前向きな姿勢を忘れません。
「プログラムのおかげで足がかりを得て、そこから学びと成長につなげることができたという意味で、私のキャリアづくりを応援してもらっています」とAustin氏は熱く語ります。
この感想にTalanian氏もうなずきながら、次のように語ります。「素晴らしい機会。奨学金付きの無償教育を受けられて、1年間報酬をもらいながらのOJT(オン ザ ジョブ トレーニング)で学べる貴重な体験です。単なる新たな勤め口というよりも、生涯にわたって充実したキャリアを積むための入り口なのです。仕事の面で成長できる機会がたくさんあります」