Asymptomatic Transmission of COVID-19 (Coronavirus) | Lab Safety Tips | Corning

4月3日に米国疾病予防管理センター(CDC)は、COVID-19のさらなる感染拡大を防ぐために、公共のスペースに行く時は体調の良し悪しに関わらず、マスクやバンダナで顔を覆うことを全てのアメリカ国民に推奨しました。

このマスクの推奨はCDCが当初に出したガイダンスを覆すものでした。科学系情報サイトLive Scienceによると、4月3日以前にはCDCは、COVID-19の症状のある人、あるいは似たような症状のある人の世話をしている人だけにマスクの着用を推奨していました。そのガイダンスは、健康な人はコロナウイルスの症状が出ている人と接触しなければそれに感染する可能性はない、と示唆するエビデンスに基づいていました。しかしCDCによると、最新の研究により無症状の人がウイルスを拡散することが示されました。3月31日のアメリカ公共ラジオ局NPRとのインタビューで、CDCのディレクターであるRobert Redfield氏は、COVID-19感染者のうち実に4人に1人が無症状だと述べました。

Redfield氏は、無症候性感染が新型コロナウイルスのアメリカ全土への拡散を助長し、何十万人もの命が危険にさらされているといいます。マスク、手洗いとアルコール消毒、およびソーシャル・ディスタンスなどの予防措置が、今だかつてなかったほど重要になっています。

ここでは無症候性感染のリスクからあなた自身、あなたの周囲の人、そしてあなたの職場を守るために役立つヒントをいくつかご紹介します。

 

無症候性感染が感染拡大に与える影響

高齢者の方がよりCOVID-19に関するリスクが高いと考えられがちですが、この病気に年齢は関係ありません。COVID-19に感染した若くて健康だと思われる人が「今までで一番具合が悪いと感じた」とToday誌に語っています。その一方でCleveland Clinicによると、新型コロナウイルスに感染した人たちの中には咳の症状さえでない人もいたといいます。

ソーシャル・ディスタンスのガイドラインに従っていても、無症状病原体保有者がウイルスを拡散するリスクはまだあります。無症状病原体保有者は具合が悪いようには見えないため、検査を受けることはまれでしょう。検査を受けなければ、陽性と診断されません。Science誌に掲載された研究によると、検査を受けていない無症状病原体保有者がウイルス感染を増加させ得るといいます。その実例として、中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症の約86%が検査を受けておらず、陽性と診断されたケースの79%については感染源が不明、つまり検査を受けていない無症状病原体保有者が感染源となっていたということです。

2月初めにCOVID-19の集団感染が発生したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号において、船内の陽性者700名のうち約18%は無症状だったと、Nature誌は報告しています。専門家の中には、一般市民における無症候感染者の割合はダイヤモンド・プリンセス号で見られた18%という割合をはるかに超える可能性があると考える人もいます。ある感染症の専門家はCOVID-19に罹患した人のうち最大で50%が全く症状を呈さない可能性があると予想しています。

症状が出る前にウイルスが拡散する、発症前感染はクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のケースで見られたように広がっており、扱いが難しい問題です。病気になって検査を受けることは不運ではありますが、良い面もあります。検査でCOVID-19陽性となった場合、接触歴を追跡することで、あなたが接触した人たちに自主隔離するように警告することが出来る可能性があります。

これとは対照的に、無症候性感染はウイルスを地域全体に急速に拡散させます。無症候性感染と思っていてもそうではない可能性もあります。症状が乾いた咳、発熱、および息切れといった通常の(COVID-19の)呼吸器徴候ではないケースでは、患者も時には医師さえも新型コロナウイルスの症状ではないとみなしてしまうかもしれません。米国のニュース解説サイトVoxによると、消化器の問題、倦怠感、疲労、および神経性の問題などがCOVID-19の症状として挙げられており、これらの例外的な症状はウイルス性胃腸炎や仕事で疲労困憊になっているのと見分けがつかない場合もあるといいます。

 

ウイルス量がパンデミックの引き金に

The Lancet誌に掲載された研究によると、COVID-19の拡散と重症度はウイルス量、すなわちその人がどれだけ多くのウイルスを体内に持ち、周囲に放出しているかに関連している可能性があるということです。

New England Journal of Medicine誌の記事によると、新型コロナウイルスにおいては症候性患者が持つウイルス量と無症候性患者が持つウイルス量はほぼ同じだと言うことです。これが、現在のコロナウイルスのパンデミックを、SARSやMERSなどの他のコロナウイルスと比較して大変危険なものにしています。Infection Control Today誌によると、SARSとMERSは概して無症状病原体保有者の持つウイルス量はより少なく、無症状病原体保有者による感染率も低いとされており、このことが感染率を減少させる要因となった可能性があるといいます。そのウイルス量の特徴と、無症状病原体保有者が持つ感染力により、新型コロナウイルスはより急速かつ効率的に拡散したと考えられます。

無症候性感染は疾病の蔓延に関与してきました。HIVおよびHPVなど多くの性感染症は、最初は明らかな徴候や症状を示しませんが、その状態でも伝染力がある、とMayo Clinic は述べています。

社会的因子も感染拡大に寄与する場合があります。症状が無い場合、人は油断して健康を害する行動を取る可能性があります。例えばCOVID-19の場合は、ソーシャル・ディスタンスの基準を緩めるなどです。さらに悪いことに、症状が無いことで予防手段が不十分になることもあります。例えば、CNBC放送局によると、ウォルマートやアマゾンは出勤時に職場で従業員の体温チェックを実施していますが、無症状病原体保有者は発熱しないため発見されません。

 

無症候性感染からあなたの研究室を守るのに役立つ方法

体調が良いと感じていても、予防には細心の注意が必要です。無症候性感染という目に見えない脅威には研究室の内でも外でも用心することが大切です。CDCが示した、リスクを軽減するためのいくつかの方法をご紹介します:

  • 適正な手洗いとアルコール消毒を実践、奨励しましょう。
  • 自分の顔をなるべく触らないようにしましょう。研究室でマスクを着用している場合は、マスクを直す時に顔を触らないように特に注意しましょう。
  • 米国環境保護庁(EPA)のSARS-CoV-2に対しての有効性の基準を満たす製品を用いて、作業台や用具の表面を頻繁に洗浄、消毒しましょう。
  • 研究室の中にいる人の数を減らすために、研究室の勤務シフトをずらしましょう。
  • 研究室内でソーシャル・ディスタンスを実践し、なるべく他の人から2メートル以上の距離をあけるようにしましょう。

CDCによると、密接がウイルスの拡散を助長する恐れがあるといいます。しかし、小さな研究室ではたくさんの人が限られた空間を共有している場合もあるでしょう。あなたの研究室の同僚たちがどこにいるのかを把握して、お互いのパーソナルスペースを尊重し、新型コロナウイルスの拡散予防につなげましょう。

まさに人の命を救うかもしれないのです。

コーニングライフサイエンスは、研究活動がCOVID-19の世界的流行を制御するために特に重要な役割を果たす今、ライフサイエンス業界の全てのお客様のお役に立てるよう全力で取り組みます。