自家脂肪移植は乳房再建において最も侵襲性の低い方法ですが、組織吸収率が最大80%と高いことが最大の欠点です。コペンハーゲン大学病院(Rigshospitalet)の 形成外科・再建外科のKrzysztof Drzewiecki教授および臨床免疫学部のAnne Fischer-Nielsen博士率いるデンマークの研究者らは、次の仮説を立てました。 ヒト脂肪移植片の自家脂肪幹細胞 (ASCs) 含有率を高めたら、移植片の生着率を上げることができないだろうか?ただしこれには大きな課題がありました。それは「移植成功率を上げるために十分な量の幹細胞をどのようにして培養するか?」ということです。本臨床試験の責任者であるPeter Glovinski博士は、本臨床試験の推進のためにコーニングに支援を求めました。それを受けてコーニングは数十億もの幹細胞の増殖を可能にするスケールアップソリューションを設計しました。
必要なものが多すぎて、理想的な解決策がない
Glovinski博士とその共同研究者らがこの研究に情熱を注ぐ理由は、ただ1つです。「世界の女性のうち10人に1人は生涯のどこかで乳癌に直面し、多くの人が癌治療の一環として再建手術を必要とします。デンマークだけでも毎年4,800人の女性が乳癌に罹患しています。しかし、遊離皮弁や移植などの現在の手術には大きな欠点があります」と博士は述べています。