3D Bioprinting Revolutionizes Tissue Engineering | 3D Cell Culture Research | Corning

以下の記事は、2017年6月13日にSelectScienceに掲載されたものを翻訳したものです。

組織工学に革新を

組織工学に革新を

Organovo社の3Dプリンティング技術とCorning®のトランズウェル パーミアブルサポート製品を組み合わせて、新しい段階の3次元細胞培養研究を

3Dプリンティング技術と細胞培養が融合したときの科学の可能性を想像してみてください。ミズーリ大学のGabor Gorgacs教授とクレムソン大学のThomas Boland博士の斬新な発想の研究により、この革新的な技術が現実的なものとなっています。メディカルリサーチカンパニーであるOrganovo社では、チーフ・サイエンティフィック・オフィサーのSharon Presnell氏が指揮を執り、研究者は3Dプリンティングによって、自然な組織の配置や配列にみられる独自の特徴の再現と、細胞にその機能をもたらす細胞間相互作用の構築を可能としました。

Corning トランズウェル パーミアブルサポート製品を使用したこの最新技術が、組織工学分野を推し進めています。このことは、細胞培養における生物学的、工学的な技術革新を反映しており、また研究者たちが新しい組織をデザインする際によりバランスのとれたアプローチを可能にします。

その仕組みとは

Organovo社の研究者はヒト初代細胞を使って“バイオインク”を作り出しました。100%細胞からなるものや、硬さやその他の好ましい特性を持たせるための成分を添加することもあります。細胞と素材との相互作用よりも細胞間相互作用を促進するために、プリンティングが終わったらすぐに消失するような一過性の生体材料の研究も進むことでしょう。Organovo社のプラットフォームで重要な部分であるプリンティングにおいても、使用される溶液は少なくとも30%、最大100%が細胞から構成されています。

それから、組織の足場となるトランズウェルパーミアブルサポート製品上にプリントします。プリントされたそれぞれの組織は、Organovo社では少なくとも2, 3の異なる素材をそれぞれあらかじめコートしており、これにより考えうる多様な成分と構造における待望の柔軟性を得ることができます。結果として、異なる細胞のタイプはすべての3次元方向(X,Y,Z軸)に形成することができます。これは、これまでのスキャフォールドやハイドロゲルを利用した3次元細胞培養にはない、バイオプリンティングならではの利点です。「わたしたちの装置を使用すれば、肝臓などの組織を24ウェルのトランズウェルインサートに1時間以内にプリントすることができます。プリンティングは、相対的に短時間で行える効率的な方法と言えるでしょう。」とPresnell氏は語ります。

成功につながるパートナーシップ

Presnell氏によると、Organovo社がコーニングをパートナーに選んだ理由は、多様な表面、ポアサイズ、コーティングを取り揃えるラインアップの豊富さでした。Presnell氏は、「ラインナップが多いことで選択肢が広がります。すべての組織が同じように作れるわけではないので、これは重要なことです。」と言います。Organovo社の研究者が最終的にトランズウェル パーミアブルサポート製品を選んだ理由は、メンブレンのポアを通してあらゆる方向から組織に栄養等が行き渡ることでした。

in vitroで考えると、バイオプリンティングの組織はかなり大きく、だからこそ上下両方向から栄養素が届くことが重要です。「とにかくトランズウェル パーミアブルサポート製品なしにこの仕事はなしえませんでした。」と、Presnell氏は語ります。「コーニングと仕事ができて本当に良かったと思う理由は、その柔軟性とわたしたちの特異な需要に対応してくれる姿勢です。現在、わたしたちはパートナーであるコーニングのチームと一緒に、より使いやすく、より無駄なく組織を製造できるトランズウェルのトレーを開発しています。コーニングのチームと生産的かつ協力的に働くことができて光栄です。こういったパートナーを持つことは、いつだっていいものです。」

アプリケーションと将来の展望

現在では、バイオプリンティングによりin vitroでの薬物試験用に、生理学的に近い細胞モデルが作れるようになりました。Presnell氏によれば、「わたしたちは、現在作っている組織にまつわる有用なアプリケーションの開発に注力しています。肝臓の例を出せば、毒性試験においてこの組織でなにができるか、非常にいい手ごたえを感じています。これらの組織を特定の方法で刺激することで、線維症など、ある疾患の病態で見られるバイオマーカーと組織学的特徴を発現させることを明らかにしました。」

バイオプリンティングは、近い将来in vivoでの移植に使える、複雑な臓器をなす可能性についていろいろな噂を呼んでいます。Presnell氏はさらに、「わたしたちが進歩を期待する分野のは、3次元システムから効率よく情報を得る方法の開発です。わたしたちの理解を広めることで、より自然な組織モデルを構築する術を見つけ出せることでしょう。」と語っています。

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