Pipette Primer: Types of Pipettes and How to Use Them

科学研究や臨床の現場では、精密な計量が求められる場面に頻繁に遭遇します。ピペットは、さまざまな液体の計量に使える便利な道具であり、貴重で実用的な結果が得られます。

今回は各種ピペットに関する心得を始め、ピペッターの使い方や手入れ方法をご紹介します。

標準ピペットのタイプ

一般的な日常用途に使えるピペットにはいくつかのタイプがあります。しかし、それぞれに違いがあります。

ピペット

このタイプのピペットは、先端目盛り付きでミリリットル単位での液体移動に対応し、液体の計量と分注・吸引が可能です。Falcon® 個別包装ピペットCorning® Stripette® ピペットなどのピペットは、日常的な細胞培養や回収後の細胞の分注に役立ちます。試薬、細胞懸濁液、細胞培養培地、化学溶液の混合にも使用できます。臨床では、検尿、血液バンク、免疫学、血液学の領域でピペットが頻繁に使われています。

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ホールピペット

コーニングのPYREX® リユーザブルガラス ホールピペットは、全容ピペット、全量ピペットとも呼ばれ、任意の溶液量を自由に吐出できます。ピペットは、連続希釈溶液・保存溶液の調製に日常的に使用されます。また、滴定法や容量分析にも使われます。ホールピペットは、細胞培養培地、分析溶液、溶媒、有機化合物を扱う作業で頼りになるピペットとして頻繁に利用されています。

 

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モールピペット

モールビュレットとも呼ばれ、ピペットの目盛りは先端までなく、ホールピペットほどの正確性はありません。しかし、PYREX リユーザブルガラスメスピペットなどのモールピペットには、多くの場合、ピペットのような双方向目盛りが付いています。一般的にはガラス製で、先端にあるコックで液流を制御します。モールピペットは、滴定や臨床分析でも使用されます。

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トランスファーピペット

パスツールピペットとも呼ばれ、吸引用のゴム球が付いたディスポーザブル型のプラスチック製ピペットで、クロスコンタミネーションのリスクなしに少量の液体の移動に使われます。コーニングのFalconトランスファーピペットは、大まかにはかり取る際に使用します。トランスファーピペットは、多くの場合、検尿や血液学、免疫学、血液バンクの領域で使用されます。

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アスピレーティングピペット

Corning Costar® アスピレーションピペットは、計量なしに容器の液体を除去・吸引する際に使用します。こうしたピペットは、正確性が求められない用途に適しています。アスピレーティングピペットは上部と先端部の双方が開放されているので、Corning Stripettor® Pro ピペットコントローラーなどの真空アスピレーターにピペットを取り付けて使用することが重要です。

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高機能ピペット

標準タイプのピペットに加え、高機能なバージョンも用意されています。こうしたピペットは、多くの場合、特定の作業に用いられます。

エアーディスプレイスメント式ピペット

このピペットは、ピストンと、計量対象の液体の間にわずかな空気のクッションが存在します。ピストンのキャリブレーションにより、所定の液量を最も正確に分注できます。このように極めて正確性に優れたピペットのため、さまざまな用途にに的確に対応できます。

一般に、Corning Lambda™ EliteTouch™ ピペッターなどのエアディスプレイスメント式ピペットは、極めて正確な計量が欠かせない小用量の水性や非粘性の液体の分注に使われます。このピペットは、温度、気圧、液体の粘性・濃度が性能に大きく影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。

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人間工学的に見たピペットの使いやすさ

人間工学的に見たピペットの使いやすさ

ピペットを毎日使用していると、手などの痛みや障害に発展することがあり、正しい姿勢を維持できなければワークフローに支障を来たす恐れがあります。正しい姿勢から優れた設計の機器まで、ピペットの人間工学的な追求がこうした問題の回避に役立ちます。

確かな成果を上げるためには、一貫して正しい姿勢を守る必要があります。

  • ワークステーションは快適な高さに設定します。
  • ワークステーションで快適に座れるように椅子の高さを調製します。
  • ピペッティングの際は手首をリラックスした状態にします。
  • ピペッティングの際、指に力を入れ過ぎないようにします。

高機能ピペットのメンテナンス

高機能ピペットのメンテナンス

高機能ピペットは、性能や正確性を維持するために毎日のメンテナンスが必要です。以下の5つのステップに沿って、ピペットの寿命を延ばし、作業の妥当性を確保します。

  1. ピペットのクリーニング:コンタミネーションが発生すると、せっかくの実験結果が台なしになりかねません。ピペットのメーカーが用意した説明書に従い、正しく徹底的にピペットをクリーニングします。ピペットの使い方によって正しいクリーニング方法も違ってくるので、ご注意ください。一般的には、ピペットを水中に沈めないように注意します。汚れがひどい場合、プラスチック製の毛材のブラシでやさしく汚れを落とします。
  2. 目視による検査:実験結果に悪影響を及ぼしかねない損傷や腐食の兆候が見られないか、ピペットを定期的に検査します。ピペットのあらゆる部分をじっくり目視し、ひび割れや腐食の兆候、その他の明らかな損傷がないか確認します。さらに、ピペットの構成部品もひとつひとつ検査します。プッシュボタンはまっすぐで、化学的な損傷や腐食の兆候がないことを確認します。
  3. 機能テスト:ピペットが正常に動作するか定期的にチェックします。ピペットを最大容量にセットし、プッシュボタン、ピストン、イジェクターの動きに問題がないかテストします。不具合や突っかかりがなく、すべての動きがスムーズでなくてはなりません。
  4. 予防保守の実施:問題が発生してから解決するだけでは不十分です。日常作業の一環として予防保守やキャリブレーションを実施します。通常、適切な予防保守としては、シールやOリングなど摩耗しやすい部品の交換、機構部品のグリース再塗布などがあります。適切なメンテナンスの全手順については、メーカーのガイドラインを参照してください。
  5. メンテナンス手順の確立:ワークフローを効率化するため、メンテナンスの体系とスケジュールを策定します。クリーニング、点検、機能テスト、メンテナンス、キャリブレーションなど、すべての部品について適切な手入れを忘れずに含めます。

作業に適したピペットを選び、ピペット使用時は人間工学的視点から適切な使い方を守り、一貫性のあるメンテナンススケジュールに従うことは、どのようなピペットでも最高の性能を引き出す一助となります。