Cell Contamination, Containment, and Correction: Good Cell Culture Practices in 3D | Cell Cultures | Corning

細胞のコンタミネーションは、3D細胞培養研究でも、従来の2D単層培養でも大きな懸念となっています。生物学的コンタミネーション源を特定できなければ、研究結果のデータに多大な影響が及びかねず、不正確になったり、役に立たなくなったりします。あるいは、その培養から作製した産物があれば、これも使い物にならない可能性があります。

コンタミネーションを防止する細胞培養プロトコールは、どのように作成すればいいのでしょうか。コンタミネーションは抑制できても、完全に排除することはできません。コンタミネーションの発生が避けられないとしたら、どうすればいいのでしょうか。

細胞コンタミネーションの原因とは

細胞培養系にコンタミネーションが発生する主な原因は、基本的に化学的汚染か、生物学的汚染のいずれかです。3D細胞培養では、バイオインクや細胞外基質(ECM)など、さまざまな構成要素で発生する可能性があります。

化学的コンタミネーション

化学的コンタミネーションは、細胞培養に好ましくない影響を引き起こす恐れのある非生体物質が存在することを意味します。多くの場合、化学的コンタミネーションの原因は細胞培養用の培地にあり、それらは試薬か試薬調製用の水、あるいは試薬に添加されたサプリメントのいずれかに由来します。

化学的コンタミネーション源には、1)培地・血清・水に含まれる金属イオン、不純物、エンドトキシン、2)CO2インキュベーター槽内のガスに含まれる不純物、3)チューブやボトルに使われる可塑剤、4)さまざまな成分の光活性化で培地内に生じるフリーラジカル、5)機器洗浄に使用する殺菌剤・化学薬品の残留物、6)実験器具、ガラス製品などの用具に残る沈着物などがあります。

生物学的コンタミネーション

生物学的コンタミネーション源は、検出しやすい物質(細菌、カビ、酵母など)と検出しにくい物質(ウイルス、原虫、マイコプラズマ、その他の細胞株や虫など)に大別できます。

細菌、カビ、酵母は、細胞培養環境に最もよく見られるコンタミネーション源です。抗生物質がない場合には容易に検出されますが、細胞培養プロトコールで常に抗生物質を使用していると、感染しても増殖が遅くなりやすく、検出は困難になります。このタイプのコンタミネーション源は、発見される前の段階ですでに細胞培養に広がっている可能性もあります。

研究室環境でのコンタミネーション防止

非滅菌の消耗品・備品や培地を使用することで生物学的コンタミネーション源が培養中の細胞に混入することも少なくありません。そのため、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)か乾熱滅菌による滅菌処理を適切に実施しなければなりません。

滅菌用のオートクレーブやオーブンは、適切なメンテナンスと操作を徹底します。オートクレーブは詰め込みすぎると、熱が均等に行き渡らず、全体の滅菌に失敗することがあります。滅菌対象の材料や液体に対して、十分な滅菌時間を確保してください。粘性のある液体や大量の液体は十分に滅菌されないことも多く、コンタミネーションの原因となります。無菌状態を維持するため、消耗品・備品や溶液は埃や虫が侵入しない場所に適切に保管してください。

もちろん、正しい無菌操作も重要です。コンタミネーションのリスクを避ける10の方法もご覧ください。空中浮遊粒子のリスクは、手洗いや清潔な手袋・白衣の着用で最小限に抑えられます。抗生物質の使用は最小限にします。1度に1つの細胞株を使用します。コンタミネーションがないか定期的なチェックを徹底します。

コンタミネーション発覚時の適切な対応とは

コンタミネーションが発覚した場合、他の培養物への拡散を防ぐために、汚染された培養物のオートクレーブ滅菌が推奨されます。貴重な培養物が汚染されてしまった場合、救出に努めなければならないこともあります。これは、通常、マイコプラズマ感染の場合に限られ、真菌や酵母による汚染は除菌できない可能性が高くなります。細菌のコンタミネーションはすでに抗生物質に耐性ができていることも多く、多くの培養物は浄化後に重要な特性を失ってしまいます。マイコプラズマのコンタミネーションは、多くの場合、抗生物質で処置しますが、根絶する方法はありません。また、処置をしても感染を完全除去するには至らず、検出可能なレベル未満に低下させるだけです。時間の経過とともに、生き残ったマイコプラズマが回復して増殖し、さらに深刻なコンタミネーションを引き起こすことがあります。

細胞培養のコンタミネーションのベストプラクティスを理解しておけば、規模の大小を問わず、予期せぬコンタミネーションが発生しても、研究の質が損なわれずに済みます。最後に最も重要なポイントをお伝えしましょう。

予防こそ、最良の薬なのです。