細胞コンタミネーションへの懸念から、多くの研究者が手作業のワークフローを伴う開放系から、一体型で自動化が可能な閉鎖系のプラットフォームへと移行しています。コーニング ライフサイエンスのAdvanced Cell Culture担当シニアプロダクトマネージャー、Alejandro Montoya氏(M.S.)によれば、閉鎖系への切り替えで、オープンベンチであっても無菌性を維持することができます。
「開放系では、密度勾配媒体の追加などの操作を始め、開放型遠心につきものの手作業が増えるため、微生物コンタミネーションが生じやすくなります。閉鎖系では、処理ステップの数を大幅に減らせるため、結果的にコンタミネーションのリスクも最小限に抑えられます」とMontoya氏は言います。
閉鎖系は外部の汚染物質から保護されていて、一部のプラットフォームでは、サンプルに含まれる不要な成分を手作業よりも効果的に取り除くことができます。例えば、コーニングのX-SERIES細胞分離プラットフォーム(日本未発売)には、X-LAB®とX-WASH®があり、前者は細胞単離、後者は細胞洗浄に対応していて、どちらもセンサーが制御します。
X-LABシステムでは、チューブ溶着か、ルアーロック型のコネクターやシリンジでサンプルをシングルユースの無菌カートリッジに移します。そこからサンプルは、あらかじめプログラムされた遠心機に流入します。コントロールモジュールの加速度計やセンサーでG力と細胞層を追跡します。細胞が重層化されると、カートリッジの弁が自動的に開閉し、各コンパートメントにサンプルを送ります。
BioProcess International ウェビナーの講師を担当したJosey博士は、この技術について、「加速度計、インテリジェントセンサー、マルチチャンバーデバイスカートリッジを組み合わせたX-LABシステムは、免疫細胞集団を分離する際に細胞汚染源になりやすい赤血球などの細胞集団の分離に極めて効果的」と説明しています。「溶解ステップなしに赤血球レベルを1%未満に抑えることが可能です。これに対して、従来の溶解では3%にとどまります」とJosey博士は言います。
密度勾配媒体を導入する必要がなく、溶解の手間もかからないため、コンタミネーション防止にも役立ちます。こうした試薬は、操作が必要で、曝露時間も長めになるため、どうしてもそれなりのリスクをはらんでいます。
「細胞を溶解バッファーに曝露する時間次第で、コンタミネーションの影響が生じ、細胞生存率が左右されます。言い換えれば、ステップが増える分だけリスクも増えるわけですから、試薬の追加が不要であれば、処理ステップが1つ少なくなるメリットがあります。外部コンタミネーション源が気になるのであれば、溶解ステップを入れないだけで確かな効果があります」とJosey博士は言います。