Mesenchymal Stem/Stromal Cell Concentration and Buffer Exchange Methods | Understanding MSC Techniques | Corning

間葉系幹細胞または間葉系間質細胞(MSC)のバイオマニュファクチャリングでは、細胞濃縮やバッファー交換などの特異的なプロセスやテクニックが非常に重要です。この記事で詳細をご紹介します。

各方式の解説

MSCバイオマニュファクチャリングプロセスは、いくつかの段階で細胞濃縮やバッファー交換のテクニックを使います。こうした段階としては、最初の細胞融解、継代中、最終回収後、最終製剤化前があります。このような手順では、ジメチルスルホキシド(DMSO)など望ましくない成分の除去、生物学的不活性バッファーによる培地の置換を確実に実行します。いずれも最終製剤の安全性と有効性に不可欠です。

この2つのテクニックは、それぞれ役割が異なります。通常、研究現場では、両テクニックを順番に実施します。つまり、最初に濃縮があり、続いて、必要に応じて新しいバッファーに再懸濁を行います。 

  • 細胞濃縮は、液体組成を変えることなく細胞懸濁液の容量を減らします。
  • バッファー交換では、細胞懸濁液を、同一組成または別組成の新鮮な液体マトリックスに置換します。 

方式の選択肢

こうしたプロセスの手法を選択する際、容量範囲、細胞生存率、プロセシング時間、プロセシング中も閉鎖系のままかどうかなどの要因を考慮します。こうすることで、確実に機能的に活性な生細胞数が高く維持されます。これは良好な臨床成績を獲得するうえで最も重要です。ここで考慮したい方式は3つあります。

遠心分離:定番だが限界あり 

遠心分離は、MSCの濃縮やバッファー交換に用いられる定番の方式として確立しています。通常、この方式には、遠心機に遠沈管をセットし、細胞と液体マトリックスの密度差を利用して両者を分離します。研究者の間では、この方式にFalcon® コニカルチューブなどの製品が主に使われています。

遠心分離方式は、単純で有効性が高い一方、欠点もあります。一般に小容量(15 mL〜500 mL)に限定され、開放系のプロセシングが必要で、オペレーターのスキルに大きく依存するため、遠心実施のたびにばらつきが生じることがあります。すでにメーカー各社では、この制限に対処する自動遠心技術が開発されており、手順標準化の強化や閉鎖系でのプロセシングが可能になっています。

ろ過方式:遠心方式を超えた進化 

ろ過方式には、タンジェンシャルフローろ過(TFF)と交互タンジェンシャルフロー(ATF)などがあり、従来の遠心方式よりも進化しています。これらの方式は、物理的な障壁(フィルター)で細胞を分離します。細胞はフィルターの孔径より大きいため、孔径より小さい液体マトリックスの成分だけがフィルターを通過する仕組みです。 

これらの方式はプロセス自動化を強化し、閉鎖系で大きなバッチサイズも扱えますが、課題がないわけではありません。フィルターの目詰まりが発生する点や孔径選択肢が限られている点は、この方式の効率を制限する要因になり、最適な細胞サイズ選択が重要なシナリオにはあまり適していません。

エルトリエーション方式:高精度な細胞分離が可能 

エルトリエーション方式は、遠心法と、コニカル遠心カップ内で一定方向に流れる流体を組み合わせたもので、きめ細かい細胞分離が可能です。 

この方式はプロセシングの自動化と閉鎖系対応に特長がありますが、遠心カップのサイズのためにどうしてもスループットに制限があります。また、細胞を充填ベッドで長期間保持すると、下流アプリケーションに適した単細胞懸濁を維持することがさらに困難になります。

MSC濃縮とバッファー交換の適切な方式を選定する

MSC濃縮とバッファー交換に用いる方式は、性能とコストのバランスを十分に考えて決定する必要があります。細胞回収、プロセシング時間、作業要件などの要因が重要な意味を持ちます。さらに、組織源、ドナー、細胞バッチによって、細胞のサイズや接着性は大きく変化します。こうしたサイズや接着性の変動性にシステムがどこまで対応できるのかも考慮します。 

例えば、ろ過方式とエルトリエーション方式の自動化では、労働力や再現性の点で大きな利点がありますが、フィルター目詰まりやスループット容量などの物理的制約があるため、実際に取り組むMSCプロセシング作業の具体的な要件に照らして評価しなければなりません。

安全性と有効性を両立した細胞治療薬製造に、効果的なMSC濃縮とバッファー交換は不可欠です。ハンドリング対象のMSCのプロセシング要件と特異的特性を徹底的に理解したうえで、方式を選定します。適切な技術を慎重に選び、関連要因すべてを考慮すれば、MSC治療薬の成功を大きく後押しできます。