Benefits of Using a Closed System for High-Density Cell Culture

閉鎖系を使用した高密度細胞培養のメリットを理解しておくことは、初期研究の段階から、細胞産物回収に向けた細胞培養のスケールアップに移行する際に役立ちます。既製のソリューションとして利用できる完全培養系に加え、無菌トランスファーキャップなど、あらかじめパッケージ化されたアクセサリーオプションがあれば、幅広いアプリケーションや要件に合わせて培養環境をカスタマイズしやすくなります。

閉鎖系とは

細胞培養の閉鎖系はクローズドループシステムとも呼ばれ、細胞がコンタミネーションのリスクにさらされる可能性を回避あるいは最小化するin vitro培養環境を実現します。このリスクの大半は送液に起因するため、閉鎖系には、培地の補充、老廃物の除去を含む、送液を行うためのアクセスポート(注入・回収口)が備わっています。チュービング送液ソリューションに組み込む無菌コネクターや他の特殊ポートを利用すると、バイオセーフティキャビネットの外でも、コンタミネーションを回避しながら安全に液体交換を完了させ、細胞を回収できます。

閉鎖系使用のメリットとは

開放系が問題なく機能しているのに、なぜ閉鎖系に切り替えるのでしょうか。研究開発段階での細胞培養の大部分は、柔軟性の高い開放系のアプローチが採用されていますが、やがてスケールアップの際に、効率的とは言いがたい場面に直面します。高密度細胞培養に閉鎖系を使用するメリットとして、次の点が挙げられます。

コンタミネーションのリスク抑制と安全性向上

ひとたびコンタミネーションが発生すると実験結果が損なわれ、生物由来物質の品質にも悪影響が及びますが、閉鎖系を使用すれば、コンタミネーションのリスクを低減できます。しかも、害悪を及ぼす可能性のある有機体を扱う場合、閉鎖系であれば、そのような有機体が環境中に放出されないため、バイオセイフティー向上につながります。その結果、研究室スタッフがバイオハザード物質や他の病原体にさらされない保護策にもなります。

一貫性とGMPを促進

閉鎖系では、制御された細胞培養環境が維持され、一貫した細胞培養条件を確保できるため、産物の一貫性が促進されます。ヒューマンエラーや環境変動の可能性を抑えることにより、再現性の高い結果と一貫した産物品質が得られます。

設定変更可能+組み立て済み=利便性に優れた時間節約

閉鎖系の中には、特定の細胞培養容器向けの無菌トランスファーキャップやチュービングセットなどのコンポーネントをユーザーが自分で組み合わせて利用するものもあれば、コーニングの閉鎖系ソリューションのように、あらかじめ組み立て済みで提供されるものもあります。こうした既製の閉鎖系は、セットアップに時間がかからず、あらかじめ組み立ても完了しているため、組み立て時に無菌性を損なうようなリスクも抑えられます。具体的には、完全な細胞培養系から、三角フラスコやローラーボトルなどの培養容器まで多岐にわたります。閉鎖系培養容器は、すぐに使用や接続を始められるように、すべてのポートとチュービングがしっかりと接続された状態で出荷されます。さらに、閉鎖系の規格に対応した試薬ボトルを使用すると、培地などの送液が容易になります。

閉鎖系ソリューションであれば、ひとつひとつの容器を個別に扱うのではなく、ユニット同士をマニフォールド接続して、定型的なリキッドハンドリング作業を実行できます。コーニングでは、個々の細胞培養ニーズに応じ、お客様のプロセス要件に沿って設定された所定のコンポーネントやチュービング、無菌トランスファーキャップ、その他のシングルユース品で構成するカスタム仕様の閉鎖系ソリューションも提供しています。

使用可能な閉鎖系のタイプ

ひとくちに閉鎖系と言っても、培養容器に無菌トランスファーキャップを組み合わせ、容器本体に送液と排出のポートを取り付けただけのシンプルな構成もあります。これだけでもリキッドハンドリング作業用の無菌接続が可能です。もっと複雑なシステムになると、多層型培養プラットフォームに始まり、高密度細胞製造を前提としたベンチトップ型や大型のバイオリアクターシステムまで多岐にわたります。

Corning CellSTACK®培養チャンバー

Corning CellSTACK 培養チャンバーは、コンパクトな占有スペースに多用途の拡張型培養表面を備えています。1、2、5、10、40段の5種類のサイズがあり、リキッドハンドリングを容易にするマニフォールド接続に対応しています。標準の開放系キャップの代わりに使えるチュービング付きの無菌トランスファーキャップが各種そろっており、バイオセーフティキャビネット外部でのリキッドハンドリングや操作が可能です。

Corning HYPERStack®

Corning HYPERStack セルカルチャー容器は、Corning High Yield PERformance(HYPER)テクノロジーを活用した閉鎖系容器です。ガス透過性フィルムを採用し、一定の培地量での効率的なガス交換による高密度細胞培養が可能です。HYPERStack容器は、12段と36段があり、従来の多層型容器と同等の占有スペースで最大5倍の培養表面積を確保できます。リキッドハンドリングのチュービングとベントフィルターがあらかじめ設定されたHYPERStack容器は、閉鎖系環境に簡単に組み込み、モジュール式製造を実現できます。

Corning CellCube® システム

Corning CellCube システムは、コンパクトな灌流方式で接着細胞培養をスケールアップします。CellCubeモジュールは、細胞培養表面積が8,500 cm2 から85,000 cm2まであり、多数のポリスチレン製プレートを細かい間隔で並列に配置し、連続的な培養液流を生み出します。このシステムでは、ペリスタポンプで馴化培養液を循環し、養分やガスを効果的に細胞に供給します。閉鎖系のCellCubeモジュールには、リキッドハンドリング自動化を目的に、AseptiQuik® コネクターと無菌循環ループをあらかじめ組み込んだモデルがあります。

Corning Ascent® Fixed Bed Reactor

Corning Ascent Fixed Bed Reactor システム(日本未発売)は、コントローラー、培地馴化容器、固定床バイオリアクターで構成される完全閉鎖系です。バイオリアクターには、新規のPET織布ディスクを重層化した基質を採用し、均一な培養液流、細胞接着、増殖を促進しながら、高い細胞収率と生細胞回収率を実現します。プロセス開発スケールのシステムとしては、1m2、2.5m2、5m2、最大100m2の細胞培養表面積を実現します。

閉鎖系への切り替え方法

閉鎖系への切り替えには、確かな経験豊富なを持ったフィールドアプリケーション サイエンティストによる調整作業やトレーニングが必要です。切り替えを促進し、閉鎖系ソリューションに習熟する方法として、研究開発の段階から、スケール変更可能でコンバーチブルなシステムを使用する手があります。例えば、Corning CellSTACKチャンバーは、開放系として設計されていますが、コーニングの無菌トランスファーキャップを使えば、簡単に閉鎖系に切り替えることができます。初期の研究段階からCellSTACKの2チャンバーモデルを使用しておけば、その後、使い慣れた培養容器の5チャンバーモデルや10チャンバーモデルにスケールアップし、そのまま閉鎖系として使用できます。

このビデオでは、研究室でCellSTACKを閉鎖系として使用する構成例のデモンストレーションがご覧いただけます。