1.機器のミス
血球計算盤には、高度な機器に一般的に備わっている最先端の可視化機能がありません。Corning® セルカウンター(コーニングカタログ番号6749)などの自動細胞カウンターであれば、タブレットやPCで素早く画像を処理し、デジタルフォーマットで迅速に分析できるため、従来の目視による手法に比べ、はるかに正確性が高まります。
2.手作業のミス
手動の細胞カウントは、人間による目視に依存しており、不正確になりやすいものです。サンプルの目視は、細胞凝集やデブリ、視力の問題などさまざまな要因で誤りが発生しかねません。このため、細胞数に大きなばらつきが生じると、懸濁液の本当の状態が不正確に記録されてしまいます。自動細胞カウンターは、細胞を高い精度で正確に可視化・検出するよう設計されています。
3.細胞濃度
一般に、細胞濃度が低過ぎても高過ぎても、カウントのミスにつながります。とりわけ従来の血球計算盤ではこの傾向が顕著です。細胞濃度が低過ぎると、視野内の細胞が細胞懸濁液の原液を代表していないことがあります。逆に、細胞濃度が高過ぎる場合、細胞が凝集し、とんでもないカウントミスにつながることもあります。
4.サンプル調製
血球計算盤のチャンバーに溶液を満たすと、チャンバーとカバーグラスの間の空間がわずかに増加します。このため、細胞数の推定ミスが生じやすくなります。ピペットで細胞懸濁液をカウントスライドに注入する場合でも、同様のミスが発生することがあります。サンプル中の繊維や気泡も、細胞カウントのミスを引き起こすことがあります。
5.サンプルの不適切な懸濁
細胞懸濁液を静置すると、懸濁液中の多くの細胞が試験管の底に沈んでいきます。この遠沈管から採取したサンプルは、本当の溶液の状態を表さず、不正確な細胞数になります。カウントに先立って、サンプルをしっかりと再懸濁することが大切です。こうすることで、カウント時の正確度が高まります。
6.細胞とデブリが識別不能
たとえ高度な訓練を受けた目をもってしても、ときにはデブリをサンプル中の別の細胞と見間違うこともあります。デブリが存在する可能性がある場合に、デブリを細胞としてカウントすれば、誤検出(過検出)となります。手動の細胞カウントでは、細胞をデブリと誤って分類し、誤検出(検出漏れ)になることがあります。通常、自動細胞カウンターは、過検出や検出漏れが大量に発生しないようにする特殊な検出パラメーターを備えているのが特長です。
7.標準化されていないプロトコール
手動の細胞カウントは、文字どおり人間が行うものであり、サンプルの細胞カウントのプロトコールも属人的なやり方に依存するため、どうしてもばらつきが生まれます。研究チーム内でプロトコールが標準化されていなければ、このばらつきが原因で重大なミスが生じかねません。自動細胞カウンターでの検出は、アルゴリズムを使ってサンプルがどの特徴と「一致」するかを判断する機能に基づいて行われます。統一プロトコールに沿って運用するため、厳格なカウント方針の策定や順守のために余分な作業を強いられることもありません。
8.非効率な記録や監視
手動の方法では、担当者は実験ノートに細胞数を書き留めるだけです。技術進歩を背景に、細胞カウントと記録の高速化が進んでいます。Corning セルカウンターなど、多くの自動細胞カウンターの利点として、記録やデータ共有にクラウド技術を活用できる点が挙げられます。
9.計算ミス
どのようなタイプのデータ収集でも、大量の計算が伴います。懸濁液の平均細胞数の計算には、数学的な処理が欠かせません。手計算では時間がかかり、ミスも発生しやすくなります。Corning セルカウンターなど、一部の自動細胞カウンターは、サンプルの細胞濃度と生存率をほぼ瞬時に計算します。
10.手動カウントだけが実証済みという固定観念
手動の細胞カウントは汎用性があり、さまざまな状況に適応できますが、その有用性は担当者の腕に左右されます。細胞カウントの処理量をさらに上げる方法としては、自動細胞カウンターの導入が挙げられます。ミス発生の可能性が抑えられるだけでなく、全般的に生産性が向上します。