コントロールインサートは、マトリゲルをコーティングしていないインサートで、細胞の遊走アッセイに使用します。遊走した細胞のデータは、浸潤率を算出するときの分母となります。
コンパニオンプレートとは、インサートの位置ずれを防止するデザインになっているプレートです。マトリゲルインベージョンチャンバーを1回に少量しか使わず、キットに入っていたプレートが足りなくなったときに追加購入します。
「浸潤率」は、コントロールメンブレン(マトリゲルコートしていないインサートメンブレン)での遊走と、マトリゲルマトリックスおよびメンブレンでの浸潤の比として表されます。
%浸潤の計算式:
%浸潤= | (マトリゲルインサートメンブレンを浸潤している平均細胞数)/(コント ロールインサートメンブレンを移動する平均細胞数)×100 |
「浸潤指数」は、コントロール細胞の浸潤に対する試験細胞の浸潤の比として表されます。
浸潤指数の計算式:
浸潤指数= | (%浸潤試験細胞)/(%浸潤コントロール細胞) |
浸潤の実験では、異なる日に実験を行うと、細胞の状態や環境要因により浸潤する細胞実数に差が出てきます。そのような場合、実測値を比較するのではなく浸潤率や浸潤指数を算出して、データの照らし合わせを行います。
「浸潤率」は、コントロールメンブレン(マトリゲルコートしていないインサートメンブレン)での遊走と、マトリゲルマトリックスおよびメンブレンでの浸潤の比として表されます。一方、「浸潤指数」は、コントロール細胞の浸潤に対する試験細胞の浸潤の比として表されます。
無血清培地で細胞をまく場合は、酵素処理で細胞をはがした後、無血清培地で希釈してから遠心を行う、あるいは血清入り培地で反応を止めた後に遠心し、一度無血清培地で洗ってから播種用に調整して様子を見てください。
Falcon® セルカルチャーインサート専用のコンパニオンプレートを使用し、インサートを正しい位置にセットしてください。
インサートの下側に、泡が入っていないかを確認してください。
細胞の種類により浸潤の状態は違います。ご自分の細胞に適した条件をご検討ください。
例: 誘引用の血清濃度を10%に上げる。播種する細胞数を増やす(24ウェルインサートは50,000、6ウェルインサートなら250,000)。これらを検討しても変わらない場合は、浸潤時間を24時間から48時間に延ばしてみてください。
Corning® BioCoat™マトリゲルインベージョンチャンバーは、各種細胞で詳細を示した論文が発表されています。PubMedなどでの検索での情報収集もお勧めします。
浸潤能を判断するために、浸潤の実験では、以下のようなコントロールを置くことをお勧めしています。コントロールがうまく機能していることを確認しながら、実験を行うようにしてください。
コントロール細胞:目的の細胞以外に、浸潤能が高い細胞と低い細胞を用いて実験を行います。目的の細胞との浸潤能の比較対象となる他、浸潤能を有する細胞は、実験系がうまく機能したかどうかを確認できるポジティブコントロールとなります。また、浸潤能の低い細胞は、浸潤指数を算出するために利用します。製品プロトコールで紹介しているHT1080は浸潤能の高い細胞、NIH3T3は浸潤能の低い細胞の例です。
コントロールインサート:マトリゲルをコートしていないインサートです。細胞がマトリゲルの障壁なしに遊走するデータを導き出します。浸潤率の計算に用います。
これは、一般的に起こりうる現象です。複数の視野を数えて平均化してください。使用するウェルのn数は3以上をお勧めします。
アッセイを行う際は、泡が入っていないか確認してください。泡は、細胞遊走の妨げとなります。Falcon® セルカルチャーインサートを使用するときは、一般的なプレートの使用は避け、必ずコンパニオンプレートにセットしてください。下図のように、インサートが刻み(ノッチ)にはまっていることを確認してください。