アッセイシステムを使う際に、次のような間違いをしていませんか?
1. プロセスの各段階で、適切な培地を使用しましたか? シーディング基礎培地で細胞を播種した後に、Entero- STIM™分化培地を使用してください。
2. 有効期間が過ぎた培地を使っていませんか? MITO+™シーラム・エクステンダーを添加した培地は、2-8℃保存で21日間有効です。
3. インサートに十分な数の細胞を播種しましたか?(この手法では、細胞密度は通常の200,000 cells/insertより高くなるため、播種後に細胞密度はコンフルエント近くに達します)
4. 細胞に物理的にダメージを与えて、細胞単層の状態を傷つけていませんか? 培地交換の際、やさしく培地を取り除くか、インサートを逆さにして廃液容器に培地を捨ててください。
5. 推奨時間より長い時間、Entero-STIM™分化培地で細胞を培養していませんか?(新鮮な分化培地に交換しなければ、分化後2.5日あたりでバリアーに変質が生じることがあります)
以下の3点をチェックしてください。
1. MITO+™シーラム・エクステンダーを忘れずに培地に添加しましたか?
2. 使用する前に細胞に問題がないことを確認しましたか?(下の写真はCaco-2細胞が推奨される細胞密度 200,000 cells/cm2まで増殖した場合の、Caco-2細胞の様子を示したものです)
3. インサート上のCaco-2細胞は、素材の違いからディッシュ上よりも顕微鏡での観察が難しいということをご存知ですか?(細胞を固定・染色したい場合、その詳細は弊社の技術情報TB405ならびにTB406を参照してください)
以下の点を確認してください。
1. 培地交換を行わずにEntero-STIM™分化培地で2日以上細胞を培養していませんか?毎日あるいは1日おきに Entero-STIM™分化培地を交換してください。
2. インサートに適切な密度の細胞を播種しましたか?この手法では、細胞密度は通常の200,000 cells/insertより高いため、播種によって細胞の密度はコンフルエントに近くなります。
3. 細胞のトリプシン処理の時間が長すぎたり短すぎたりしませんでしたか?良好な細胞単層を形成するためには、細胞を懸濁液中でバラバラになっている状態(単細胞懸濁液)にしてください。
4. 細胞単層の品質をTEERで測定した場合は、マンニトール透過性の試験または他の透過性試験を実施してTEERの 測定結果を検証してください。放射性ラベルのマンニトール以外に、蛍光を発するルシファーイエローを使用して透過性試験を行う方法もあります(下記資料をご参照ください)。
5. BioCoat™ Caco-2 アッセイシステムでの透過性の測定結果が、21日間のCaco-2アッセイで行った測定よりもわ ずかに高くなることをご存知ですか? なお、3日培養でも化合物の透過性順位は21日培養と同様です。1)
6. 薬剤候補サンプル添加後の、輸送バッファー内のDMSO最終濃度が高すぎませんか?最良の結果を得るには、輸送アッセイ中のDMSOの最終濃度を0.5%未満に維持してください。高濃度のDMSOは、Caco-2細胞へ影響を与えてしまいます。(標準的なDMSO濃度域は0.1-0.5%です)
7. インサートの培地交換にはアスピレーター吸引を行なっていますか?吸引しすぎると、細胞とフィブリラーコラーゲンのコーティングをインサートから剥がしてしまい、リークが増加する場合があります。培地交換の際は、穏やかにゆっくりとしたピペット操作を行って、余分な培地をインサートから取り除くことをお薦めします。インサートを逆さにして、廃液を適当な容器に流す方法で培地を捨ててもかまいません。
8. 最初にフィーダートレイまたは24ウェルプレートに培地を満たし、最後にインサートに培地を満たしていませんか?こうすると静水圧が生じ、フィブリラーコラーゲンのコーティングまたは細胞単層が剥がれ、リークが増大する場合があります。必ず最初にインサートを満たし、その後でインサートの下のトレイやプレートを満たしてください。
考えられる理由は以下の通りです。
1. インキュベーション時間が短すぎませんか?通常は、30分から2時間のインキュベーション時間をお薦めしています。最適な培養時間は、お客様自身が決定してください。
2. アッセイシステムのプラスチック部分に、非特異的結合によって候補化合物が吸着している可能性があります。インキュベーション後に、上下のウェルの化合物を測定してください。
必要に応じて、培養の最初の播種段階で10%ウシ胎児血清をMITO+™シーラム・エクステンダー添加シーディング基礎培地に加えることができます。ウシ胎児血清を少量添加することによって、細胞が分裂し、より効果的にインサートでの増殖が促進されます。その後のステップは全てマニュアルに従って行ってください(分化段階ではウシ胎児血清を添加しないでください)。 アッセイ期間を5日に延長することでも、より緊密な単層膜形成が可能となります。お客様自身で実施していただけるよう、2種類の改善法の例を以下に示します。
改善法 Ⅰ
1日目に、マニュアルに記載の方法で細胞を播種してください。
2日目に、マニュアルに記載の方法でEntero-STIM分化培地に切り替えてください。
3日目に、新鮮なEntero-STIM分化培地を補充してください。
4日目に、新鮮なEntero-STIM分化培地を補充してください。
5日目に、アッセイシステムを輸送実験に使用できるようになります。
改善法 Ⅱ
- マニュアルに記載の方法で細胞を播種してください。
- 2.5日後にEntero-STIM分化培地に交換してください。
- さらに2.5日後、アッセイシステムを輸送実験に使用できるようになります。
改善法 Ⅱ は週末を挟んだ実験のセットアップに特に適しています。
複数のお客様がアッセイ期間を5日に延長することで、P-糖タンパク質活性や能動輸送活性を高め、問題を解決しています2)。お客様自身で実施していただけるよう、2種類の改善法の例を以下に示します。
改善法 Ⅰ
1日目に、マニュアルに記載の方法で細胞を播種してください。
2日目に、マニュアルに記載の方法でEntero-STIM分化培地に切り替えてください。
3日目に、新鮮なEntero-STIM分化培地を補充してください。
4日目に、新鮮なEntero-STIM分化培地を補充してください。
5日目に、アッセイシステムを輸送実験に使用できるようになります。
改善法 Ⅱ
- マニュアルに記載の方法で細胞を播種してください。
- 2.5日後にEntero-STIM分化培地に交換してください。
- さらに2.5日後、アッセイシステムを輸送実験に使用できるようになります。
改善法 Ⅱ は週末を挟んだ実験のセットアップに特に適しています。