概要
技術革新の文化
技術の追求

シャーリーン・スミス

Charlene Smith

マイクロリソグラフィーの新風 

携帯電話やPDA、ノートPCなど、より軽量で高速の電子ツールを求める声は高まるばかりです。 こうしたツールに欠かせない「燃料」となるのがスマートマイクロチップですが、より小型化の進むメディアにエッヂングするのには複雑な命令が必要となります。

半導体チップには、そうしたメディアにパターンを「書き込む」精密なマイクロリソグラフィが必要となります。 パターンはフォトマスク(情報が蓄積されている場所)から「レンズトレイン」を通過しウェハ(情報が書き込まれる場所)上に転写されます。 半導体製造プロセスに使用されるこの「ステッパ」装置に不可欠なのが、シリカガラスです。

コーニングのシニアリサーチアソシエイトであるシャーリーン・スミスとそのチームは、コーニングのマイクロリソグラフィ素材の次世代ソリューション開発に打ち込んでいます。

コロラド州立大学で博士号(有機化学)を取得後、スミスはオークリッジ国立研究所にてポスドク研究を修了しました。 学術研究のテーマは有機化学および有機合成科学。 ポスドク時代の研究は大いに注目を浴び、エネルギー研究に直接的な影響を及ぼすものでしたが、彼女はさらに知識の幅を広げることを望みました。

「それまでの学術研究で学んだことをベースにして、他の科学専門分野も探求してみたかったんです。」スミスは続けて言いました。 「より複雑な問題を突きつけてくるような、そして、見返りとして確かな知識を得られるような研究プロジェクトを探していました。 そうしたことから、材料技術に関心を持つようになったんです。」

コーニングは、スミスの持つ有機分野研究のスキルや知識を、無機材料科学に応用する機会を提供しました。 彼女もまた、リソースや革新的なアイデアを活用するためチームメンバーが共同研究を行うコーニング独自のチーム研究アプローチに魅力を感じていました。

1990年、スミスはサイエンスアンドテクノロジーポリマーリサーチグループでの活動を開始したのです。 開始直後のプロジェクトのひとつが、ガラスとプラスチックの合成素材Placorに関する研究でした。「どんな形で応用されるにせよ、その基本となる材料の特性を理解することがどれだけ役に立つか、このプロジェクトを通じてよくわかりました。」この「より幅広い視点」が、スミスが1993年にガラスおよびガラスセラミック研究へと進むきっかけとなりました。

現在、スミスは長期間にわたるレーザーによるシリカガラス材料の損傷挙動に関する専門家と認められています。 彼女が取り組んでいる遠紫外線透過材料(単結晶フッ化物およびフッ素ドープシリカであるHPFS®など)の研究は具体的な成果をもたらし、利益を上げています。

2002年には、マイクロリソグラフィ機器用高透過フォトマスク材料の創出にむけ、コーニングリサーチアソシエイトのリサ・ムーアとチームを組みました。 二人は水分を除き、フッ素イオンを加えることによりシリカの組成を改善しました。 このチームによる技術革新により、シリカガラスでは不可能、と半導体業界が考えていた波長(特に157nm)の透過が可能になりました。 これは、157nmノードリソグラフィに使用可能な唯一の材料です。

この発見は「シリカの波長の壁を打ち破るもの」であるだけではなく、半導体リソグラフィのロードマップに重要な貢献をもたらすものでした。 将来の研究優先事項およびそれを支える技術進歩に関する計画をたてるため、業界全体がこのロードマップを使用しています。

「今日の半導体業界において市場シェアを維持し拡大していくには、予測可能で、正確かつ確実な製造業績が不可欠です」とスミスは提言しています。 「製品寿命サイクルの短期化、ほぼ「無欠陥(zero defect)」の製造要件、そして他社に先んじて市場に製品を投入するメリットの活用、これらに対応していくには、研究者は常に周囲の先を行かなくてはいけません。

スミスはまさにそれを体現しているのです。 2002年には、その萌芽研究がマイクロリソグラフィ技術における新たな現象の重要な理解をもたらしたとして、ストゥキー賞を受賞。 コーニングでの研究は、出願中含め22の特許、さらには主要な科学誌への多数の論文掲載という成果を生みました。

スミスは半導体製品用ガラスおよびガラスセラミック材料の進展にむけ取り組みを続けており、現在は、技術プロジェクトリーダーとして、フォトリソグラフィ用単結晶フッ化物の開発を行っています。